岡崎の夜空を彩る伝統 花火の製造工程に密着!

公開日:2026.07.29     暮らし
岡崎の夏の風物詩といえば夜空を彩る花火。
三河花火とも呼ばれ、岡崎市民に親しまれている花火は戦国時代に軍事用として使われた火薬を徳川家康公が天下統一を果たしたことで、地元三河に特別に火薬の製造を許可したことにルーツがあります。
その後、江戸時代の和平が続く中で観賞用に火薬が製造されるようになり、それが三河花火となりました。
今回は伝統的な花火の製造と岡崎市で花火を作り続ける磯谷煙火店について紹介します。

磯谷煙火店の歩み

  • 松平工場

    松平工場

  • 磯谷煙火店外観

    磯谷煙火店外観

磯谷煙火店は1887年(明治20年)に現在の豊田市岩倉町で打揚花火製造施設を設立して以来、130年以上花火の制作を続けています。
昭和初期に花火の製造工場を現在の岡崎市百々町へ移し、1965年(昭和40年)には現在工場のある岡崎市保母町に移転しました。

1995年(平成7年)に四代目代表取締役に磯谷尚孝さんが就任してからは、花火の技術とコンピューター制御を融合させた電気点火器の開発など、新技術の導入を進め製造や演出、管理において近代化を図りました。
2001年(平成13年)、2003年(平成15年)には、全国花火競技大会で内閣総理大臣賞を受賞し、2009年(平成21年)には、経済産業省が行っている「明日の日本を支える元気なモノづくり300社」の「キラリと光るモノづくり小規模企業」部門に選定されました。さらには2022年(令和4年)に磯谷尚孝さんが厚生労働大臣から卓越した技能者である「現代の名工」として表彰され、2024年(令和6年)には黄綬褒章を受章し、全国屈指の花火技術を誇る花火製造会社として知られるようになりました。

花火の製造工程

打揚花火の代表である割物(上空で玉が破裂した際に、火薬(星)が球状に広がる伝統的な花火)製造は以下の手順で行われます。

①薬品の配合
花火の元となる5~10種類の薬品を計量し、ふるいに通すことで混合し、花火の現象を作り出す粉末の混合薬を作ります。実際に火薬に触れるため安全に関して気を抜けない作業です。

②花火の「星」の作成
配合工程で、よく混合され均一になった配合薬を固形化し、花火の一番重要な部品「星」を作ります。
花火の「星」とは夜空に色や光の花を咲かせるための火薬の球。
これを作るために、まず配合した薬品を練り、天日で乾燥、固めて切って「切り星」を作ります。
その後切り星をミキサーへ入れ、配合薬をふりかけて少し大きくなったものを天日で乾燥させる作業を繰り返し徐々に大きな火薬の球を作ります。
この工程のことを「星を掛ける」や「星掛け」といい、できた星のことを「掛け星」と呼びます。

③花火の玉の作成
掛け星と割薬(打揚花火の中心に詰められる火薬)を、玉皮に装填します。
ボール紙などで作られた玉皮に掛け星を並べ、次に薄い紙と割薬を入れます。この工程を繰り返して半球ごとに作成し、最後に2つの球を合わせて1つの玉を作ります。

④花火の玉の仕上げ
出来上がった玉の表面にクラフト紙を張り、完成させます。
クラフト紙にのりをつけ、玉皮の表面に何回か貼り付けていき、天日で乾燥させます。この作業を繰り返して花火の完成です。
クラフト紙を貼り付ける前に花火の玉を点火してもガス圧が高まり切らず大きな破裂が起こらないため、作る花火の種類と大きさによってクラフト紙を貼る回数を変えて、火薬の強さと外殻の強さのバランスをとることがきれいな花火を作るうえで重要です。
①薬品の配合
②花火の「星」の作成(ミキサー)
②花火の「星」の作成(天日乾燥)
③花火の玉の作成
③花火の玉の作成(半球を合わせた後)
④花火の玉の仕上げ(天日乾燥)
COLUMN
花火の色ってどうやって出しているの?

花火の色ってどうやって出しているの?

花火の原料は主に火薬を燃焼させる酸素を生み出すための酸化剤、燃焼してエネルギーを生み出す可燃剤、色を決める色火剤に分類されます。 花火の色は酸化剤、可燃剤、色火剤のバランスを調整することで決まります。 これは、特定の金属やその化合物を炎に入れると、元素特有の光を放って炎の色が変化する「炎色反応」を利用しています。 例えば、赤は炭酸ストロンチウム、青は酸化銅など、色によってこの化合物を変えることによって花火の色を変えています。 夜空を彩る色とりどりの花火は繊細な配合によってその色を生み出しています。

花火への想いと今後の花火について

磯谷尚孝さんは「花火は総合芸術のようなもの。打ち上げのタイミングや花火の種類など数多くの要素を全て使って、花火のことを全く知らない人でも心の動くような作品を作っている」と話します。
観客の心を動かす演出をするため、常に伝統的な丸い花火やその制作方法を大切にしつつ新たな可能性を探求している磯谷煙火店。
花火の色彩・リズム・立体感・構成など複合的な観点から独自性・創造性を評価する「創造花火」への挑戦、コンピューター制御によって音楽やナレーションにシンクロさせて花火を打ち上げる「メロディー花火®」の開発など花火の可能性への探求はとどまるところを知りません。

「メロディー花火®」は新たな技術や要素を取り込みながら、音楽やナレーション、効果音に合わせてストーリー仕立てで打ち上げられる「ドラマチック花火」に受け継がれており、磯谷煙火店の花火は総合エンターテイメントとして進化を続けています。
※「メロディー花火®」は磯谷煙火店の登録商標です。

まとめ

130年以上の歴史を持ち、新技術とも融合しながら進化を続ける磯谷煙火店の花火。
夜空に打ちあがる花火の一つ一つやその演出に、見る人を感動させたい職人の技術と想い(おもい)がこもっています。

磯谷煙火店の花火は8月1日(土)に行われる岡崎市制110周年記念事業 岡崎城下家康公夏まつり第78回花火大会でも打ち上がります!
ぜひ岡崎の花火を楽しんでみてはいかがでしょうか。


■株式会社磯谷煙火店
住所:岡崎市保母町字木崩1-8