鳥川ホタルの里湧水群

公開日:2017.07.01     "〇にナる" 岡崎まちものがたり
環境省の名水百選30周年記念の「名水百選」選抜総選挙(平成28年)で、〈秘境地としてすばらしい「名水」部門〉第1位となった湧水群。鳥川独特の環境から生まれた名水なのでした。
  •  豊富な湧出量を誇る湧水群

    豊富な湧出量を誇る湧水群

  • 岩肌を流れる清水

    岩肌を流れる清水

  • ホタル学校の近くから望む音羽富士(中央奥)。四方八方を山々に囲まれている

    ホタル学校の近くから望む音羽富士(中央奥)。四方八方を山々に囲まれている

いたるところに清水が湧出する、水環境に恵まれた土地、鳥川
人口38万人超の中核市・岡崎にあって“秘境地”と呼ばれる鳥川(とっかわ)ホタルの里。6月に1000匹を超えるゲンジボタルの光の舞が見られる県内有数のスポットとして知られ、湧水群にもその名が冠せられています。周辺には額堂山、水晶山、愛宕山、音羽富士などがあり、四方八方を山に囲まれた地形が特徴的です。降り注いだ雨は山々を通って濾過された澄んだ地下水となり、長い年月をかけて湧き出てきます。うっそうとした森の山肌に浸みだす清水や、民家近くの水田脇にある湧水など、いたるところから清水が流れ出ているのです。
  • 鳥川簡易水道(鳥川浄水場)

    鳥川簡易水道(鳥川浄水場)

湧水群だけじゃないんです! 蛇口からも、おいしい水が…
この地区で使われている鳥川簡易水道(鳥川浄水場)の水源も、実は湧水です。他の地域で暮らす親戚や友人から「鳥川の水は本当においしい」と言われることが住人の自慢なのだとか。地元の人曰く、そのおいしさは当たり前で、褒められることで改めて気づくそうです。水の持つミネラル分などは浄水場で処理されても変わらないそうなので、味のバランスがそのまま保たれるんですね。
  • 延命水。水量も豊富で汲みやすいです

    延命水。水量も豊富で汲みやすいです

  • 産湯の滝。小高い山の上にあります

    産湯の滝。小高い山の上にあります

  • 庚申の水。最近は水が細くなってしまうこともあるそうです

    庚申の水。最近は水が細くなってしまうこともあるそうです

  • 大岩の水。現在、水量が減っているので、汲むのに少々時間がかかります

    大岩の水。現在、水量が減っているので、汲むのに少々時間がかかります

  • ホタル学校で毎年5月に開催される「平成の名水百選巡りバスツアー」の一場面。鳥川ホタル保存会のアドバイザーでもあるガイドの竹内謙作さんが丁寧にドリップしてくれます。湧水をめぐるだけでなく、鳥川地区の歴史や文化の解説もあり、なおかつ竹内さんの自慢のコーヒーも味わえます。機会があれば、ぜひ参加してください

    ホタル学校で毎年5月に開催される「平成の名水百選巡りバスツアー」の一場面。鳥川ホタル保存会のアドバイザーでもあるガイドの竹内謙作さんが丁寧にドリップしてくれます。湧水をめぐるだけでなく、鳥川地区の歴史や文化の解説もあり、なおかつ竹内さんの自慢のコーヒーも味わえます。機会があれば、ぜひ参加してください

半径1.5km内の4つの湧水。その味わいの、不思議
さて、湧水を汲みに行くなら整備されている4か所へ、どうぞ。長寿の水として人気の「延命水」や、産湯として使われていた「産湯の滝」。そして祀られた庚申様から命名された「庚申の水」や、大岩から湧出しているように見えたことに由来する「大岩の水」。どの水もほんのりと甘みを感じさせる、なめらかな飲み口が印象的でした。

ただ、水の状態では味の差はほとんどわからなかったのですが、岡崎市ホタル学校の職員さんから面白い話を聞きました。ホタル学校主催のバスツアーで4つの湧水をめぐり、コーヒーの味比べをする名物企画があるとのこと。すると多くの参加者が味の違いに気づくそうです。半径1.5km内にある湧水なのに、味の差が出るなんて不思議。へえ~、そんなことがあるのかあ…。
  • コーヒーには粗熱を取った湯を使用し、”蒸らし”は約30秒にして煎れてみました。見た目は全く一緒ですね

    コーヒーには粗熱を取った湯を使用し、”蒸らし”は約30秒にして煎れてみました。見た目は全く一緒ですね

  • 緑茶はティーバックに粗熱を取った湯を注ぎ、30秒で3回揺らし、1分後に取り出す条件で比較。渋みの差が少し感じられる気がしましたが、渋み、甘み、うまみがバランス良く出ている印象でした

    緑茶はティーバックに粗熱を取った湯を注ぎ、30秒で3回揺らし、1分後に取り出す条件で比較。渋みの差が少し感じられる気がしましたが、渋み、甘み、うまみがバランス良く出ている印象でした

  • 紅茶はティーバックに熱湯を注ぎ、30秒で3回揺らし、1分後に取り出す条件で比較。しっかりした渋みのある紅茶を使ったせいか、紅茶が一番わかりづらかったです

    紅茶はティーバックに熱湯を注ぎ、30秒で3回揺らし、1分後に取り出す条件で比較。しっかりした渋みのある紅茶を使ったせいか、紅茶が一番わかりづらかったです

インスタントでは差が出づらい、ドリップコーヒーでお試しあれ
ではでは、みなさんにもちょっとだけ味比べの疑似体験をしていただきましょう。ホタル学校ツアーガイドの竹内謙作さんのように、生豆をハンドピックで自家焙煎し、丁寧にペーパードリップしてくれる玄人技は私には無理そうなので、市販のものでチャレンジ。すると、それでもわかるんです、違いがハッキリ。主に差を感じるのは苦味と酸味、そこに+αで香り、コク、後味が微妙に異なる気がしました。コーヒーの種類や好みもありますので、みなさんを惑わせないように感想は控えたいと思いますが、違いのわかる大人の休日の遊びとして、ぜひ、お試しあれ。

そして3つほどアドバイス。1つめは抽出される飲み物で試してくださいということ。実は誰でも揃えられる一定の条件で比較をしようと、最初にインスタントコーヒーを使ったのですが、味の差がほとんどわかりませんでした。成分が湯に溶け出す抽出の差がポイントのようです。2つめはコーヒー、緑茶、紅茶ならコーヒーが一番わかりやすいということ。ドリップ時の”蒸らし”をしっかりすることで、かなり違いがわかります。3つめは4種類を1度に比較するのは結構難しいということ。2種類ずつをトーナメント式などで比較するのがオススメだと思いました。
  • 左が元会長の今泉清さん。右が現会長の片岡喜幸さん

    左が元会長の今泉清さん。右が現会長の片岡喜幸さん

  • 川の清掃活動

    川の清掃活動

  • 登山道整備の活動

    登山道整備の活動

  • 「6月のホタルも見に来てほしいけど、湧水めぐりは年中OKだから、ぜひ遊びに来てね!」とお二人

    「6月のホタルも見に来てほしいけど、湧水めぐりは年中OKだから、ぜひ遊びに来てね!」とお二人

環境保全活動の話を聞かねば、総選挙でのNO.1は語れません
さて冒頭で触れた環境省の「名水百選」選抜総選挙〈秘境地としてすばらしい「名水」部門〉第1位について。この評価には地区の環境保全活動が大きく関わっていると聞き、その主体である鳥川ホタル保存会のメンバーにもお話を伺いました。同会には、鳥川町の全戸(約60戸)が加入。平成6年の設立以来、ホタルの保護育成や川の清掃はもちろん、湧水群の維持管理、登山道の整備などの環境保全活動を行ってきました。水の大切さを肌で感じている住民たちの活動が1位獲得へのPRポイントとなったそうです。

「きっかけはホタルの減少だったけど、みんなで助け合うのが当たり前という気持ちと、自分たちの生活環境は自分たちで守るという意識が原動力だったと思う」と振り返るのは元会長の今泉清さん。「その精神は地域の伝統だね。誰かに何かを押し付けるのではなく支え合うことが大切。作業の後にみんなでワイワイご飯を食べたりして楽しみながらやってきたことが良かったと思う」と、現会長の片岡喜幸さん。なるほど、持続する活動に欠かせないのは同じ思いを持つ仲間と、楽しむ心。全国NO.1という輝かしい栄誉をもたらしたのは、人情味あふれる地域の結束力だったんですね。
とっかわいいとこ、一度はおいでん!
乾いた喉を潤してくれた湧水の飲み口に感動しながら、住民のみなさんの結束力にも心が動かされました…水もいいけど、人もいい…、おいでん、鳥川。
〇ご注意:本記事は湧水を飲料水として保証するものではありませんので、自己責任でご利用ください。
〇鳥川ホタルの里湧水群に関する問合せ先
■名称:岡崎市ホタル学校
■電話:0564-82-3027
■開館時間:9~17時(6月は~21時)
■休業日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、12月29日~1月3日
■駐車場:約40台
■HP:https://okazaki-kanko.jp/mizutomidori/guide/284
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43豊富学区まちものがたり
○ライター:小嶋かおり
愛知県豊田市(山間部)出身。三河を中心としたタウン誌の編集に始まり、フリーランスとなって東海地方の旅の情報誌を中心に執筆。生家を出て初めて住んだ場所も、高校も、初就職も、現在の出没地も岡崎…「隠れ岡崎市民」を自負しております。

インフォメーション

場所:愛知県岡崎市鳥川町字小デノ沢5-1(岡崎市ホタル学校)