東京藝術大学在学中に脚光を集める山中惇史さん。作曲家として活動しながら、ピアニストとしても日本を代表する音楽家たちとの共演も果たしています。ときおり見せる屈託のない笑顔が印象的です。
「音楽との出会いは保育園のとき。お昼寝の時間に流れていたクラシック音楽が大好きになって、先生にダビングしてもらったのをきっかけに、毎日のように聴くようになったのです」
ご両親が音楽に詳しかったというわけではなく、幼い頃から専門的な音楽教育も受けていたわけでもなかったそう。純粋に音楽が好きだった山中さんは、小学生になると町のピアノ教室に通いはじめます。
「楽譜を見るのが大好きだったんです。ピアノ教室にある楽譜を片端から見ながら音楽を聴いていたら、自然と楽譜が読めるようになっていました。いま振り返ると、ちょっと変な子ども時代だったかもしれないですね(笑)」
“好きこそものの上手なれ”を地で行く山中さんは、中学校ではオーケストラ部でヴァイオリン、高校では吹奏楽部で打楽器を担当しながら作曲のレッスンを受けるなど、まさに“音楽漬け”の青春時代を岡崎市で過ごします。
「両親が音楽に詳しくなかったことが逆によかったのかもしれません。あれもこれも与えられるわけではなかっただけ、自分から貪欲に求める気持ちが育まれましたから。そんなふうにして、どんどん音楽の魅力にはまっていきました」
高校時代に作曲家への道を目指すことを決めた山中さんが、東京藝術大学へと進路を決めたのも「尊敬する音楽家のかたの多くが東京藝術大学出身だったから」と自然な流れだったと言います。