誇るべき歴史と文化のある街、
岡崎のまちづくりをご一緒に。

公開日:2019.02.05
  • 藤川まちづくり協議会会長 鈴木忠 さん
  • 藤川宿 むらさき麦
藤川地区は、東海道五十三次の宿場町・藤川宿として栄えた場所で、古い歴史を持った情緒あふれる地域です。鈴木さんが会長を務める藤川まちづくり協議会は、旧東海道の「松並木」や、江戸時代後期の町屋「米屋」の保全活用、松尾芭蕉の句にも詠まれた幻の麦「むらさき麦」の保存、栽培・商品化などをテーマに、多様な活動を展開されています。
「歴史と文化の街『三河岡崎』を、誇りと愛着を持って、次の世代につなげてほしい」という鈴木さんの熱いメッセージをお届けします。

忘れられない、幼い頃の岡崎の風景

藤川で生まれ育った鈴木さんに、思い出や忘れられない光景についてお聞きしました。
「昭和20年代、藤川小学校の行事で、牛乗山(うしのりやま ※第3紀末波蝕巨礫群が岡崎市指定文化財・天然記念物に指定されています)で宝探しをしたことが記憶に残っています。当時の牛乗山は自然のままで、景品を書いた紙が木の枝や小石の下などに隠してあり、私たちは夢中になってそれを探したものです。たわいのない景品ではありましたが、物のない時代、それは私たちにとって本当の宝物でした」

鈴木さんの心には、戦時中の岡崎の様子も鮮やかに残っているそうです。
「戦時中に、銀色に光ったB29が編隊を組んで、藤川のはるか上空を飛んでいった光景は忘れられません。岡崎の市街地が空襲にあったとき、警戒警報が出されて、大八車(だいはちぐるま)に家財を積んで近くの田んぼ道に避難しました。そのとき、西の空が真っ赤に燃え上がっていたことを今でも思い出します」
人生の第二ステージは、藤川まちづくり
鈴木さんが藤川まちづくり協議会に所属したきっかけは、平成10年に定年になった際にまちづくりメンバーの方から誘いを受けたことでした。そして、藤川宿の歴史や文化の勉強会に参加するようになり、生まれ育った故郷・藤川について学びを深めてこられました。
「藤川まちづくり協議会では、芭蕉が『ここも三河 むらさき麦の かきつばた』と詠んだ幻の麦『むらさき麦』を、平成6年に念願叶って栽培を復活することができました。平成13年3月、東海道五十三次宿駅制定400年記念の年に、桑谷山荘(くわがいさんそう)で、とろろご飯に『むらさき麦』を混ぜた『むらさき定食』の試食に招待されたのですが、そのとろろご飯の味は今でも忘れられません」
桑谷山荘は解体され、今は三河湾を見下ろす山林公園になっています。

「むらさき麦」がつなぐ、藤川の大きな未来

平成26年に藤川まちづくり協議会会長に就任された鈴木さんにとって、街ぐるみで「むらさき麦」の栽培やPRに参加し、様々な商品が販売されるようになったことは大きな喜びだといいます。
「平成24年12月にオープンした、道の駅藤川宿では、『むらさき麦』のいろいろな商品が販売されています。『むらさき麦うどん』や『むらさき麦ダックワーズ』などがその一例です。今は廃番となってしまいましたが、『むらさき麦』の焼酎『大公館』はメディアにも多く取り上げられて人気を集めました。平成25年11月には『むらさき麦』オーナー制度を創設し、その際には竹の子幼稚園の年中組の150人と先生方が麦蒔きに参加してくださいました。ほかにも、藤川小学校や地元の大学・高校・中学校の生徒たちが一緒になって、『むらさき麦まつり』を盛り上げてくれたり、『むらさき麦』商品のパッケージやポスターの制作に携わってくれたりと、いろいろな形で関わってくれています」

「むらさき麦」の句を詠んだ松尾芭蕉がなくなったのが元禄7年(1694年)。100回忌にあたる寛政5年(1793年)には、藤川に句碑が建立され、300回忌にあたる平成6年(1994年)に、「むらさき麦」が藤川に復活しました。先人達の思いが受け継がれて、記念すべき年にこうした事業が成し遂げられたことを、鈴木さんをはじめとするまちづくりメンバーの方々は誇りに思っていらっしゃるそうです。
調和のとれた街、岡崎の魅力
鈴木さんに、岡崎の魅力について質問してみました。
「岡崎は、いろいろな意味でバランスのとれた街だと思います。山あり川ありの豊かな自然を残しつつ、住宅地と商業地域が調和しています。また、自動車を中心とした産業が盛んで、交通網も充実していますね。人々は質実剛健で、まじめで何事にも真剣にあたり、この地の文化・経済を支えてきました」

まさに、鈴木さんご本人が質実剛健そのもののお方だと感じずにはいられません。ちなみに鈴木さん、岡崎でおすすめの場所は、どこですか?

「『五万石でも岡崎さまは、お城下まで舟がくる』と唄われますが、乙川河川敷から眺める風景は本当に美しいものです。朝夕、四季それぞれのよさが引き立つ、心安まる光景だと思います」

大切なのは、それぞれができる範囲でまちづくりに関わること

鈴木さんに、未来の岡崎に望むものについてお聞きしました。
「幼児から高齢者まで、誰もが安心して暮らせる、安全で幸福度No.1の街になっていってくれたらうれしいです。そのためにも、どんな小さなことでもいいので、自分の住んでいる地域のために何ができるかを考えて、できるときにそれぞれができることを行うことが大切だと思います。まちづくりに関わること、携わることで、その人の意識が変わって活力が生まれ、それがやりがい・生きがいにつながっていくからです」
「また、市内を走る国道1号がさらによりよい国道へと生まれ変わってくれたらと願っています。両側に広い緑地帯を設けて、サイクリングロードを作り、国道沿いに喫茶店や食事処を用意してお茶を飲んだり食事したりして楽しめる、そんな夢のような国道1号になったらいいですね」

挽き臼や精麦機、小型製粉機を備えた、自宅にある「むらさき麦工房」で藤川の子どもたちに講義をしたり、光沢が美しい「むらさき麦」のわら細工に挑戦したりと、鈴木さんの活動は多岐にわたっています。これからも藤川のまちづくり活動が継承され、街の魅力が日本全国へ広まっていくことが期待されます。
  • 岡崎
  • 宣言
藤川宿 むらさき麦

藤川宿 むらさき麦

大勢の人を巻き込みながら、藤川のシンボルとしてさらに大きく育てていきたいです

藤川まちづくり協議会では、設立当初から幻の麦「むらさき麦」を復活させ、藤川の新しいシンボルとして育ててきました。今後、八丁味噌と肩を並べる地域のブランドとして、藤川宿・むらさき麦をもっともっと大きく育てていきたいと考えています。そのためには、子どもから大人まで、さらに多くの人にまちづくりに関わり、携わっていただき、持続可能なムーブメントにしていくことが必要です。若いかたから高齢のかたまで、皆さんの持つ貴重なノウハウを、まちづくりにも生かしてみませんか?