高校時代に市内のレストランで、アルバイトを始めた天野さんは、さまざまな美味しさに出会います。
「ドリアを初めて食べたとき、うますぎてびっくりしましたね。パスタもナポリタンしか知りませんでしたから、世の中にはうまいものがたくさんあるなあって。もっと知りたい! うまいもの食べたい!って、食欲が爆発しました」
アルバイト先では、しだいにキッチンを任されるようになります。
「初めの頃、ボクが作った料理は食べ残しがありました。でも、だんだんと完食してくれるお客さんが増えて、うれしかったですね。あれはもう、料理家の感動ですよ」
人に料理をふるまって、食べてもらうことがうれしい。天野ひろゆきさんを語るうえで欠かせない、グルメの片鱗も、料理家としての基礎も、手製の料理をふるまう“天野会”に友人を招くことも、岡崎のレストランに原点があるのです。
ある日、アルバイト先に高校の先生が来ました。
「アルバイトは禁止でしたから、『絶対怒られる。停学になったらどうしよう』ってヒヤヒヤしていました。そしたら、『ハンバーグ、美味しかったよ。がんばれ!』って、逆に応援してくれたんです」