公開日:2019.02.21
"〇にナる" 岡崎まちものがたり
岡崎城では東照公遺訓碑が見逃せない
岡崎城天守閣の前に大きな石碑があるのを御存知でしょうか。「東照公遺訓碑」と呼ばれるその碑は、徳川家康の有名な人生訓とされる「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。いそぐべからず。…」の全文が刻まれたもの。戦前に岡崎財界の重鎮として活躍した加藤賢治郎が1936年(昭和11年)に寄贈しました。
高さはおよそ4.5m、大きな亀の背中に遺訓を刻んだ分厚い板が乗り、最上部には6頭の龍が彫り込まれています。その大きさもさることながら、迫力ある亀の表情や甲羅の文様、精緻に浮き彫りされた龍の彫刻には目を見張るばかり。岡崎では町のあちこちで石を使った作品を目にしますが、この東照公遺訓碑はその中で最も美しい石造物のひとつと言っていいのではないでしょうか。
これを手掛けたのが、戦前・戦後を通じて岡崎の石製品の美術性を高めることに尽力した池上年氏です。
高さはおよそ4.5m、大きな亀の背中に遺訓を刻んだ分厚い板が乗り、最上部には6頭の龍が彫り込まれています。その大きさもさることながら、迫力ある亀の表情や甲羅の文様、精緻に浮き彫りされた龍の彫刻には目を見張るばかり。岡崎では町のあちこちで石を使った作品を目にしますが、この東照公遺訓碑はその中で最も美しい石造物のひとつと言っていいのではないでしょうか。
これを手掛けたのが、戦前・戦後を通じて岡崎の石製品の美術性を高めることに尽力した池上年氏です。
石製品の芸術性向上を目指して
池上年氏は1890年(明治23年)、広島県福山市の生まれ。京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)の図案科に在籍して美術と考古学を学んだのち、1918年(大正7年)に岡崎市立商業学校(現県立岡崎商業高校)に美術教師として赴任します。
岡崎の石と深く関わるようになったのは1924年(大正13年)、当時皇太子だった昭和天皇の御成婚の記念として岡崎市から石灯籠を献上することになり、そのデザイン・制作の監督を依頼されたのがきっかけです。
仏教考古学の造詣も深かった池上氏は古今東西の石灯籠の名品を調査し、それをデザインに活かした見事な作品を完成させます。以後、灯籠や石製品のデザインに本格的に取り組むようになり、明大寺町の自宅敷地内に「岡崎石造美術研究所」を創設。それまで岡崎の石灯籠は職人の勘で作られていたため完成度にばらつきがあり、美術的評価は高くありませんでしたが、これをより優れたものにしようと、技術向上のための教育活動にも取り組みました。
岡崎の石と深く関わるようになったのは1924年(大正13年)、当時皇太子だった昭和天皇の御成婚の記念として岡崎市から石灯籠を献上することになり、そのデザイン・制作の監督を依頼されたのがきっかけです。
仏教考古学の造詣も深かった池上氏は古今東西の石灯籠の名品を調査し、それをデザインに活かした見事な作品を完成させます。以後、灯籠や石製品のデザインに本格的に取り組むようになり、明大寺町の自宅敷地内に「岡崎石造美術研究所」を創設。それまで岡崎の石灯籠は職人の勘で作られていたため完成度にばらつきがあり、美術的評価は高くありませんでしたが、これをより優れたものにしようと、技術向上のための教育活動にも取り組みました。
作品を探して岡崎公園を散策
東照公遺訓碑以外にも、岡崎公園には池上年氏の作品がいくつかあります。天守閣西側にある、家康の胞衣(えな=生まれたときに胎児を包んでいる膜と胎盤)を埋めた「えな塚」がそのひとつで、仏教建築の様式のひとつである宝塔(ほうとう)の形式を取り入れたもの。また、えな塚の近くにある家康の産湯井の記念碑もそう。記念碑というとシンプルな形状が一般的ですが、これは上部に屋根を乗せて碑文の上には龍を浮き彫りしており、非常に凝ったデザインになっています。
このほか気軽に見られる作品には、岡崎公園内の巽閣の庭園に建つ御苑型石灯籠と雪見灯籠、岡崎公園の入口近くにある浄瑠璃姫の墓、岡崎欠町の東公園内にある志賀重昂(しがしげたか、地理学者で岡崎名誉市民)の墓などがあり、これら以外にも寺院や個人宅に多くの作品が残されています。歴史を大切にしてきた研究者であり、美を追求しつづけたデザイナー・制作者でもあった池上年氏の作品群は一見の価値あり。ぜひ間近で鑑賞し、美しい石の世界に触れてみてください。
このほか気軽に見られる作品には、岡崎公園内の巽閣の庭園に建つ御苑型石灯籠と雪見灯籠、岡崎公園の入口近くにある浄瑠璃姫の墓、岡崎欠町の東公園内にある志賀重昂(しがしげたか、地理学者で岡崎名誉市民)の墓などがあり、これら以外にも寺院や個人宅に多くの作品が残されています。歴史を大切にしてきた研究者であり、美を追求しつづけたデザイナー・制作者でもあった池上年氏の作品群は一見の価値あり。ぜひ間近で鑑賞し、美しい石の世界に触れてみてください。
○取材協力(敬称略):池上勝次(岡崎石造美術研究所)
◯参考文献
「石造研究 池上年の世界」/著:岡崎石造美術研究所・池上勝次、監修:石田茂作
「石都岡崎 石と共に生きる」/編集:組合設立100年誌編集委員会、発行:岡崎石製品協同組合連合会
※岡崎石造美術研究所は非公開です
◯参考文献
「石造研究 池上年の世界」/著:岡崎石造美術研究所・池上勝次、監修:石田茂作
「石都岡崎 石と共に生きる」/編集:組合設立100年誌編集委員会、発行:岡崎石製品協同組合連合会
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インフォメーション
場所:愛知県岡崎市康生町561-1(岡崎公園)
場所:愛知県岡崎市欠町大山田1(東公園)
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