六ツ美中部学区の自慢、誇りの竹馬

年が明けた1月の日曜日、六ツ美中部小学校では恒例の竹馬大会が開催されます。学校行事ではなく、学区主催の一大イベントとして定着しており、休日にもかかわらず参加率が高く、毎年、冬の運動会のような盛り上がりを見せています。

競技種目は学年別リレーや町内対抗リレー、障害物リレーなど。これらすべて竹馬に乗って行うのです。参加者は子どもたちだけでなく、その親や祖父母世代まで！　竹馬に乗れない子は大会に出るために必死に練習し、大会当日までにほとんどの子どもたちが竹馬を乗りこなせるようになるそうです。リレーの選手に選ばれた子はびっくりするくらいのスピードで竹馬に乗って走っていきます。その姿はカモシカのようで、一見の価値ありです。

平成28年にはギネス世界記録を竹馬で挑戦しました。テーマは「24時間以内に竹馬リレーに参加した最多人数」。竹馬で一人ずつ100m進み、次の挑戦者へ繋いでいくというルールで大勢の方が参加しました。
会場の六ツ美中部小学校の運動場に100ｍのコースが設けられ、一人一人が真剣な表情で進んでいきます。一体どれくらい時間がかかるのか全く分からないなか、早朝5時からスタートし、雷雨でやむなく中止になる午後7時頃まで挑戦は続けられました。参加者の合計人数はなんと329人！　午後8時半にはギネスの公式認定員より認定証を受け取り、見事世界記録を達成しました。

六ツ美中部学区には竹馬作りの名人もいます。その一人が蜂須賀勝美さん。中学卒業後、大工として働いてきた蜂須賀さんは竹馬だけでなく、六ツ美中部小学校のベンチやアスレチックなども作っては寄贈しているそうです。

竹馬づくりに必要な材料は竹と板、竹と板をとめる縄や針金。簡単に作れそうですが、ポイントは竹選びです。蜂須賀さんに聞くと、「若い竹は割れやすいため、竹は古いものを選びましょう。竹の直径は3センチほどが持ちやすいです。長さは自分の背丈より少し高いくらいがちょうどいいですね。それから根のほうが竹が厚いので根っこを下にして作ると頑丈ですよ」とのこと。「あとは竹と板がずれないようしっかり縛ること。ここが動くとケガの原因になります。慣れていない子は低いもので練習し、徐々に高いものに慣らしていく。慣れると足が高い竹馬のほうが速く走れますよ」と蜂須賀さん。

蜂須賀さんが作った竹馬を見せてもらうと、子どもたちがケガをしないように節を取り除いたり、竹や板に穴を開けて固定したり、工夫や心配りが満載でした。一つ一つ丁寧に作られていたことが作業を見ているだけでよく分かります。六ツ美中部学区の伝統行事となった竹馬大会はこうした地域の方々の協力があってこそ、続けられています。

◯取材協力
六ツ美中部学区のみなさん

◯参考文献
『昔遊び図鑑』／発行：東京書籍

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39六ツ美中部学区まちものがたり