その年の吉凶を占う、伊賀八幡宮の武者的神事

公開日:2019.01.11     "〇にナる" 岡崎まちものがたり
伊賀八幡宮では、弓矢を放ち、的板の割れ具合でその年の吉凶を占う武者的神事(むしゃまとしんじ)が江戸時代から続いています。毎年大寒の日に行われており、2019年は1月20日(日)に予定されています。
  • 国の重要文化財である、伊賀八幡宮の隨神門

    国の重要文化財である、伊賀八幡宮の隨神門

  • 徳川家三代将軍・家光により整備された神橋と蓮池

    徳川家三代将軍・家光により整備された神橋と蓮池

  • 初夏の蓮池

    初夏の蓮池

  • 境内にあるさざれ石

    境内にあるさざれ石

国の重要文化財にも指定される由緒正しい神社
伊賀八幡宮の創建は1470年(文明2年)、徳川家の祖である松平家の守護神として建立されました。家康公からの信仰も深く、大きな合戦の前に必ず参詣したといわれています。

後に徳川家三代将軍・家光によって境内が整備され、極彩色の社殿や門、神橋などは現在、国の重要文化財に指定されています。

初夏には蓮池に蓮の花が咲き、その美しい風景は、地元の人たちはもちろん、遠方の人たちからも撮影スポットとして親しまれています。
  • 静寂の中、射手が弓矢を放つ

    静寂の中、射手が弓矢を放つ

  • 占いの結果はその場で披露され、後に境内に張り出される

    占いの結果はその場で披露され、後に境内に張り出される

  • 抜刀道の剣舞の奉納

    抜刀道の剣舞の奉納

  • 昨年演奏した和太鼓チーム「和太鼓零~ZERO~」

    昨年演奏した和太鼓チーム「和太鼓零~ZERO~」

弓矢を放ち吉凶を占う武者的神事
そんな伊賀八幡宮で行われる武者的神事は、江戸時代初期から受け継がれる貴重な年中行事。弓矢を放ち、的板の割れた数でその年の農作物の作柄を占うものです。

江戸時代、農作物の作柄の良し悪しは、人々の暮らしにそのまま影響するたいへん重要なことがらでした。そのため、この占いの結果は江戸城まで早馬で伝えられていたそうです。それでは、2018年に行われた武者的神事の様子をご紹介しましょう。

神事は大寒の日、朝10時ころから始まります。まず、本殿にて御祭典が行われます。ここで宮司が祝詞を唱えた後、くじ引きによって判定表が作られるそうです(この様子は見学できません)。

その後、社殿の前で抜刀道の剣舞が奉納され、一般の参拝者は、これを外から見学する形になります。真剣による居合切りは大迫力で、その力強さに圧倒されます。

そしていよいよ射的が行われます。射手は15間(約28m)離れた場所から、1尺2寸(約36cm)四方のヒノキの的板に向かって弓矢を放ちます。張り詰めた空気の中、参拝客は固唾を飲んでその瞬間を待ち構えるのです。

判定は、「矢が的に当たる」「当たるが割れない」「2つに割れる」「3つ以上に割れる」の4段階。判定表の縦軸はこの的板の割れ方を、横軸には天候や農作物の出来具合、さらに商工業など経済の動向などの占う7項目が、そして判定表には「上」「中」「下」と書かれています。この占いの結果は、その場で発表されます。
  • 正月の参拝客で賑わう伊賀八幡宮

    正月の参拝客で賑わう伊賀八幡宮

  • 伊賀八幡宮 拝殿

    伊賀八幡宮 拝殿

神事として格式の高いまま受け継いでいく
2018年に射手を務めたのは、岡崎市出身の小野浩紀さん。学生時代から弓道に励んだ、弓の名手です。射手は、前日から神社にお籠りをして身体を清めてから、神事に臨んでいます。

ちなみに、射手の選出方法に特に決まりはないそうです。「神様が選んでいるのか、毎年、不思議とご縁で決まるんです」と、宮司の斎藤さんが教えてくれました。

「毎年同じことを続け、受け継ぐことに意味がある」という斎藤さん。「神事としての神聖性を保ったまま、この武者的神事を継承していきたい」という言葉通り、武者的神事は厳かな雰囲気の中で行われます。今年は日曜日の開催ということもあり、平日はなかなか行けないという方でも足を運びやすい日程です。ぜひこの機会に見学に訪れてみてはいかがでしょうか。

なお、無料の駐車場が50台ほど用意がありますが、名鉄バス「八幡社前」の利用も便利です。
○伊賀八幡宮 武者的神事data
■開催:大寒の日※2019年は1月20日(日)
■時間:10時〜11時頃
■場所:伊賀八幡宮
■駐車場:あり
○関連学区まちものがたりリンク
05広幡学区まちものがたり

インフォメーション

場所:愛知県岡崎市伊賀町東郷中86