岡崎の2つの酒蔵-丸石醸造

公開日:2018.12.26     "〇にナる" 岡崎まちものがたり
岡崎市には酒蔵が2軒あります。そのひとつ、丸石醸造は約330年もの長い歴史を持つ酒蔵。名鉄東岡崎駅からは徒歩20分ほど、飲食店や小売店、住宅などが立ち並ぶ岡崎のまちなかで、伝統を守りながらも時流に乗った酒造りに挑んでいます。
  • 伝馬通りから少し小道に入った場所にある丸石醸造

    伝馬通りから少し小道に入った場所にある丸石醸造

  • 酒のタンクごとに担当者を決め、各自が責任を持って酒を仕込む

    酒のタンクごとに担当者を決め、各自が責任を持って酒を仕込む

  • 徹底した温度管理の下、仕込んで10日目の「徳川家康 大吟醸」

    徹底した温度管理の下、仕込んで10日目の「徳川家康 大吟醸」

  • 1つのタンクで、一升瓶にして約700本の酒が出来上がる

    1つのタンクで、一升瓶にして約700本の酒が出来上がる

  • 自動圧搾ろ過機。鮮度を保つため、4度に設定された環境の中で酒を搾る

    自動圧搾ろ過機。鮮度を保つため、4度に設定された環境の中で酒を搾る

約330年間、地元で愛され続ける酒蔵
丸石醸造の創業は1690年(元禄3年)、その歴史は約330年に及びます。名前に「醸造」と付くことからもわかる通り、かつては日本酒だけなくみりんや醤油などの醸造品をはじめ幅広い商売を行なっていました。

しかし、1945年(昭和20年)7月の岡崎空襲により敷地のほとんどを焼失。幸運にも焼失を免れた蔵で、それまで兵庫県の工場で生産していた日本酒『長誉(ちょうよ)』の製造を開始しました。

そこから現在の形になり、今は代表取締役の深田英揮(ひでき)さんが蔵を取り仕切っています。
  • 二兎。2匹のウサギが並ぶ印象的なラベルは、女性からも好評なのだとか

    二兎。2匹のウサギが並ぶ印象的なラベルは、女性からも好評なのだとか

  • 二兎 純米大吟醸 雄町48

    二兎 純米大吟醸 雄町48

  • 萬歳 純米 七割磨き

    萬歳 純米 七割磨き

  • 由緒ある萬歳米と岡崎の水で作られた、萬歳

    由緒ある萬歳米と岡崎の水で作られた、萬歳

  • 乙川と大吟醸 徳川家康

    乙川と大吟醸 徳川家康

  • 純米吟醸 三河武士

    純米吟醸 三河武士

  • 手間暇かけて作られたいちごのリキュール「魅惑のいちご」

    手間暇かけて作られたいちごのリキュール「魅惑のいちご」

口コミで人気が広まった意欲作『二兎』
長誉を筆頭に、丸石醸造の日本酒は地元で長く親しまれてきました。贈答用として人気が高いのが、吟醸酒『徳川家康』。日本酒づくりに適したお米である山田錦を使用しており、全国新酒鑑評会で近年11回も金賞を受賞している自慢の銘柄です。

一方、地元・三河地方の米を使って作られる銘柄『三河武士』は、ほとんどが愛知県内、特に岡崎市内で消費されるという、まさに“地産地消”の地酒。手に取りやすい価格帯に加えて、「少しずつ味をブラッシュアップさせているのが、長年愛され続ける理由かもしれません」と、深田さんは語ります。

このように地元での流通が多い中、「県外や海外で手に取ってもらえる銘柄を作りたい」という思いで、2015年に誕生したのが『二兎(にと)』です。

市内の地酒専門店などの協力も得ながら試行錯誤を重ね、約4年間の開発期間を経て完成したこの新銘柄。「後味をすっきりとさせることで、味と香り、酸味と甘味、重さと軽さなど相反する要素をバランスよく味わえるようになった」という自信作で、その評判は口コミで瞬く間に広がりました。現在、出荷数の6〜7割が県外で消費されているそうです。

同じく2015年には、岡崎で大正時代に作られていたという品種の復刻米「萬歳(ばんざい)米」を使用した日本酒『萬歳』も完成させ、話題になりました。
  • 丸石醸造 代表取締役の深田英揮さん

    丸石醸造 代表取締役の深田英揮さん

  • 直売店「醸庵」では、純米生原酒の量り売りや限定品が購入できる

    直売店「醸庵」では、純米生原酒の量り売りや限定品が購入できる

  • 酒造りに使用している、地下30mから汲み上げた口当たりの柔らかな地下水

    酒造りに使用している、地下30mから汲み上げた口当たりの柔らかな地下水

酒造りを、次の世代に繋げていきたい
「二兎を発売したことにより、蔵の全国的な認知度も上がってきて、5年、10年後のビジョンも描きやすくなりました」。時代を見据えたマーケティングにも力を入れ、歴史ある酒蔵に変化を取り入れている深田さんはこう話します。

季節ごとに開催する「長誉祭り」や、毎月第2土・日曜に限定酒などを販売するイベント「丸石の日」では、岡崎市外からの来場者も増えているのだとか。

「本来、日本酒はその土地で飲まれることが一番だと考えているので、『萬歳』のような岡崎の人たちに喜ばれる酒造りにも引き続き取り組んでいきたいです」。

新しい挑戦をしながらも地元と共に歩んでいく展望を語ったうえで、「101%でいいから以前よりよい状態で、酒造りを次の世代へ繋げていきたい」と、未来を見据えた明るい瞳で話してくれました。
◯丸石醸造株式会社data
■電話:0564-23-3333
■時間:9:00~16:00
■休み: 年末年始、GW、お盆
■HP:http://www.014.co.jp/
※蔵開きは2月第1土曜・日曜に開催されます。
※最新情報(イベント、販売商品など)等の詳細はHPでご確認ください。
○関連学区まちものがたりリンク
02根石学区まちものがたり

インフォメーション

場所:愛知県岡崎市中町6-2-5