古代の大寺院、北野廃寺跡へ行ってみよう

公開日:2018.09.03     "〇にナる" 岡崎まちものがたり
北野廃寺跡は岡崎市に3つある国指定史跡のひとつ。現在は公園として整備されており、地元の人々に憩いの場として親しまれています。いったいどのような寺で、どのような歴史的価値があるのでしょうか?
  • 国の史跡指定を受けて岡崎の石工が建てた立派な標柱

    国の史跡指定を受けて岡崎の石工が建てた立派な標柱

  • 北野バス停付近には出土した瓦を模したモニュメントがあります

    北野バス停付近には出土した瓦を模したモニュメントがあります

  • 北野廃寺の全体図。建物が整然と並んでいたようです

    北野廃寺の全体図。建物が整然と並んでいたようです

記録が一切残っていない “伝説”の大寺院
岡崎市の北西部、矢作川近くの台地上にある北野廃寺跡は、飛鳥時代の7世紀後半から平安時代半ばの10世紀前半まで存在したとされる寺院の遺跡です。文字の記録がなく正式な寺号も不明なので、所在地から「北野廃寺」と呼ばれていますが、北野では古くから「むかしここに大きな寺があり、兵火にかかり焼失した」と伝えられてきました。

明治の終わりごろから学術的な調査・研究が行われるようになり、日本を代表する仏教考古学者で矢作町出身の石田茂作も調査に携わっています。その成果を受けて1929年(昭和4年)には国の史跡に指定。戦後も大規模な発掘調査が3回にわたって行われ、出土した瓦や建物の遺構から、おおよその姿が明らかになりました。
  • ここに三重塔もしくは五重塔が建っていたと考えられています。塔の中心柱の礎石が見られます

    ここに三重塔もしくは五重塔が建っていたと考えられています。塔の中心柱の礎石が見られます

  • ポイントごとに設置されている、岡崎らしい石製の案内板

    ポイントごとに設置されている、岡崎らしい石製の案内板

  • 礎石が並ぶ講堂の跡。東西約30m、南北16mと推定される大きな建物だったようです

    礎石が並ぶ講堂の跡。東西約30m、南北16mと推定される大きな建物だったようです

広くて爽やかな公園で古代に思いを馳せてみる
北野廃寺の規模は、南北146m、東西126.5m。この広い境内に、南大門・中門・塔・金堂・講堂が一直線に並んでいました。聖徳太子創建で日本最古の寺院とされる四天王寺(大阪市天王寺区)と同じ様式です。このような大きな寺が置かれた北野は当時、東西を結ぶ古代の幹線道路と、南北に流れる矢作川が交わる交通の要地でした。

こうしたことからこの寺は、西三河で最も早くに建立され、この地域に仏教文化を広めた中心的存在であったと考えられています。建立からおよそ300年後、その役割を終えたためか廃寺となってしまいますが、その後、北西約4.5kmの山あいの地に移転して真福寺(岡崎市真福寺町)になったという説もあります。

以前の北野廃寺跡は薮や畑になっていましたが、発掘調査を終えた1979年(昭和54年)に北野公園として整備されました。その際、建造物の遺構が出土した場所に盛土するなどして、かつての寺の様子をイメージできる工夫がなされました。

北野公園を訪ねてみると、緑の多い広々とした空間がなかなか爽快です。風格ある伽藍(がらん)が並び立つ風景を想像しながら散策してみてはいかが?
  • 岡崎城西高校美術部のみなさんによる渾身の大作「竹龍」の一部分

    岡崎城西高校美術部のみなさんによる渾身の大作「竹龍」の一部分

  • 以前行われた竹灯籠イベントの様子。今回はこの数倍の量に

    以前行われた竹灯籠イベントの様子。今回はこの数倍の量に

自慢の史跡でイベントを開催!やはぎ飛鳥まつりin北野廃寺(前年祭)
岡崎市は由緒ある神社仏閣が多いので、国指定史跡ではあっても目を引く建造物が残っていない北野廃寺は、これまで注目度が少し低かったかもしれません。しかし最近、地元の北野学区のみなさんが「多くの人に北野廃寺のことをもっと知ってもらおう」と動き始めています。
 
その取り組みの第一弾として、9月16日に「やはぎ飛鳥まつりin北野廃寺(前年祭)」が開催されることになりました。このイベントでは、近くの舳越町(へごしちょう)を拠点にする長瀬樂人会(がくにんかい)による雅楽演奏、愛知学泉短期大学による古代衣装の披露、北野廃寺の歴史ガイドなど、この地域、この史跡ならではのさまざまな催しが予定されています。またイベントに先立って、北野廃寺との関係が深かったとも言われている岡崎北部の古刹(こさつ)、真福寺の副住職による法要も執り行われます。

日没後には、岡崎城西高校の美術部員25人が約2か月半かけて制作した全長約30mの巨大な「竹龍」と、約300本の竹灯籠によるライトアップも実施。岡崎城西高校の美術部では秋の学園祭に向けて大作を共同制作するのが伝統で、いつもの夏はその制作に取り掛かっているのですが、今年は「地元のイベントを一緒に盛り上げたい」と竹龍作りに没頭したそう。

イベントは来年以降も行う予定。これからの北野廃寺跡から目が離せません。
◯やはぎ飛鳥まつりin北野廃寺(前年祭)data
■日時:9月16日(日)15時頃〜21時頃
■場所:北野廃寺跡・北野廃寺跡周辺(岡崎市北野町)
※当日は三菱自動車岡崎製作所の駐車場が利用できます。車で来場の際は係員の誘導に従ってください。
◯参考文献
「史跡北野廃寺発掘調査図集」/編集・発行:愛知県教育委員会
「史跡北野廃寺跡環境整備事業報告書」/編集・発行:岡崎市教育委員会
「愛知県岡崎市 国指定史跡北野廃寺」/編集・発行:岡崎市教育委員会
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インフォメーション

場所:愛知県岡崎市北野町