公開日:2018.06.01
"〇にナる" 岡崎まちものがたり
廃止から2年、名鉄バス専用道の跡
JR東海道本線の岡崎駅から豊橋方面行きの上り列車に乗り込むと、出発して間もなく築堤に差し掛かります。わずか200mなのであっという間に通過してしまうのですが、このわずかな距離の間に珍しい鉄道関連施設が2つもあります。
ひとつはバス専用道の跡。岡崎駅前と福岡町を結んでいた名鉄福岡線が1962年(昭和37年)に廃止されたのち、その廃線跡をバス道路として整備したものです。バスに乗っているのに電車に揺られているような気分が味わえたものですが、沿線の再開発工事に伴い平成28年3月末で運行を終了。廃止間際には多くの市民や鉄道ファンが乗車し、名残を惜しんでいました。
バス専用道の跡は東海道本線の電車からもよく見えますが、もうひとつの施設は車窓には見えません。それは、築堤を貫く小さなトンネル。地元の人々は「マルガタ」と呼んでいます。
ひとつはバス専用道の跡。岡崎駅前と福岡町を結んでいた名鉄福岡線が1962年(昭和37年)に廃止されたのち、その廃線跡をバス道路として整備したものです。バスに乗っているのに電車に揺られているような気分が味わえたものですが、沿線の再開発工事に伴い平成28年3月末で運行を終了。廃止間際には多くの市民や鉄道ファンが乗車し、名残を惜しんでいました。
バス専用道の跡は東海道本線の電車からもよく見えますが、もうひとつの施設は車窓には見えません。それは、築堤を貫く小さなトンネル。地元の人々は「マルガタ」と呼んでいます。
頭上注意!のトンネルを抜けると、そこは田んぼであった
マルガタがあるのは、バス専用道が東海道本線をくぐる地点のすぐ北。赤茶けたレンガのアーチが口をぽっかり開けています。その半円形を見れば「マルガタ」の通称も納得。
開口部は石でがっちり補強されており、堅牢そうな雰囲気は一般道や鉄道のトンネルと遜色ありません。しかし、トンネルそのものはかなり小さく、身長170cm弱の筆者が屈まずにギリギリ歩ける程度の高さしかありません。
こんな小さなトンネルなのですが、意外なほど多くの人が日常的に通行しているようです。地元の方に聞くと、若松の人が築堤の東側にあるスーパーマーケットなどに行く際によく使う“買い物ルート”とのこと。観察している間にも何人もの人がくぐっていきます。
いつごろ造られたものなのか定かではありませんが、1893年(明治26年)に大日本陸地測量部(国土地理院の前身)が発行した2万分の1地形図にはマルガタの場所に道が描かれているので、おそらく1888年(明治21年)の東海道本線開通時からあったと思われます。
ここにマルガタが造られたのは理由があります。東海道本線の築堤の東側には、丘の下には商業施設が建ち並んでいますが、かつてここには若松の人が所有する田んぼが広がっていました。マルガタは、田んぼ仕事に向かう人に迂回を強いないよう “農作業ルート”として造られたのです。
開口部は石でがっちり補強されており、堅牢そうな雰囲気は一般道や鉄道のトンネルと遜色ありません。しかし、トンネルそのものはかなり小さく、身長170cm弱の筆者が屈まずにギリギリ歩ける程度の高さしかありません。
こんな小さなトンネルなのですが、意外なほど多くの人が日常的に通行しているようです。地元の方に聞くと、若松の人が築堤の東側にあるスーパーマーケットなどに行く際によく使う“買い物ルート”とのこと。観察している間にも何人もの人がくぐっていきます。
いつごろ造られたものなのか定かではありませんが、1893年(明治26年)に大日本陸地測量部(国土地理院の前身)が発行した2万分の1地形図にはマルガタの場所に道が描かれているので、おそらく1888年(明治21年)の東海道本線開通時からあったと思われます。
ここにマルガタが造られたのは理由があります。東海道本線の築堤の東側には、丘の下には商業施設が建ち並んでいますが、かつてここには若松の人が所有する田んぼが広がっていました。マルガタは、田んぼ仕事に向かう人に迂回を強いないよう “農作業ルート”として造られたのです。
味わい深い踏切道の先で防火の神が町を見守る
東海道本線の築堤を越えて若松の東西を結ぶ道にはもうひとつ、若松踏切があります。マルガタの北およそ100mに位置し、踏切の向こうに架かる小さな陸橋でバス専用道跡をまたぐと県道岡崎幸田線に出る、のどかな道です。
この道はもともと、村はずれの丘に祀られる秋葉神社への参道として整備されたとか。若松地区の鎮守は踏切の東にある春日神社ですが、防火の神である秋葉神社も地域の人たちによって大切にされてきました。分断された町と社をつなぐこの道は、その証と言えます。
ささやかな道にも歴史があるもの。みなさんの地元の散歩道にも、意外な物語が眠っているかもしれませんよ。
この道はもともと、村はずれの丘に祀られる秋葉神社への参道として整備されたとか。若松地区の鎮守は踏切の東にある春日神社ですが、防火の神である秋葉神社も地域の人たちによって大切にされてきました。分断された町と社をつなぐこの道は、その証と言えます。
ささやかな道にも歴史があるもの。みなさんの地元の散歩道にも、意外な物語が眠っているかもしれませんよ。
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インフォメーション
場所:愛知県岡崎市若松町山田下