【連載企画】岡崎でラリージャパンを楽しもう、盛り上げよう Vol.3

公開日:2021.04.02     スポーツ
皆さんこんにちは。岡崎市出身のモータースポーツ"カメライター"の青山義明です。

3月も第3週となり、ようやく国内のラリーも新城ラリーから開催となります(本来予定されていた開幕戦は開催中止となったため)。
WRC(世界ラリー選手権)第12戦ラリージャパンへの期待も高まりますが、今回愛知県で開催の全日本ラリー選手権も横目に見ながら、WRC、そしてラリーに関して少しお話をして行きましょう。
  • シーズン前ですが、国内トップラリーストのひとり、奴田原文雄選手に会うことがありました。テストしていた車両は残念ながらランエボではなかったです(泣)

    シーズン前ですが、国内トップラリーストのひとり、奴田原文雄選手に会うことがありました。テストしていた車両は残念ながらランエボではなかったです(泣)

<筆者プロフィール>
1969年生まれ、岡崎市藤川町出身。四半世紀近くフットワーク軽く、国内外のレース取材を積極的に行なっているモータースポーツ・カメライター(フォトジャーナリスト)。年始から国内サーキットでの取材も重ねてきていますが、3月の声を聞くと急にバタバタといろいろがスタート。コロナ禍ではありますが、昨年のこの時期よりも以前の状態に近い雰囲気があり取材場所に入るのには制限が多くなってしまいましたが、シーズンの始まりを強く感じる春となりました。

新城ラリー開催で国内ラリーシーンも動き出します

  • WRCに続き、国内でもラリー選手権が開幕となりました。

    WRCに続き、国内でもラリー選手権が開幕となりました。

  • WRCに続き、国内でもラリー選手権が開幕となりました。

    WRCに続き、国内でもラリー選手権が開幕となりました。

前回のエントリーをアップした直後に、奴田原文雄選手の今シーズンの活動が発表されました。奴田原選手といえば、2006年のラリー・モンテカルロにランエボIXで挑みPWRCで優勝という記録も持っていますし、昨年の新城ラリーでも赤と黒のアドバンカラーのランエボXで優勝をしています。その内容は、なんと長らく乗り続けてきた三菱車からスイッチし、GRヤリスに乗るというものです。岡崎市民としては、三菱車を降りてしまったことに寂しさを感じますね。実は私的にはこの奴田原選手の件についてはすでに聞かされており、1月下旬に話をする機会があったので、今シーズンの活動と、三菱車について訊いてみました。

「今シーズンは、ですね、長年お世話になって来たタスカ・エンジニアリングが参戦活動を辞めるということから、新たな体制を作ることとしました。それが「NUTAHARA RALLY teamを立ち上げたわけです。さすがにエボXももう10年以上乗ってきていることもあって、車両も変えようかということです」
  • まだまだトップ争いを展開できるだけのポテンシャルがありながらも、残念ながら国内JN1クラスから姿を消すこととなってしまったランエボX。岡崎市民としては寂しい限り、です。

    まだまだトップ争いを展開できるだけのポテンシャルがありながらも、残念ながら国内JN1クラスから姿を消すこととなってしまったランエボX。岡崎市民としては寂しい限り、です。

  • まだまだトップ争いを展開できるだけのポテンシャルがありながらも、残念ながら国内JN1クラスから姿を消すこととなってしまったランエボX。岡崎市民としては寂しい限り、です。

    まだまだトップ争いを展開できるだけのポテンシャルがありながらも、残念ながら国内JN1クラスから姿を消すこととなってしまったランエボX。岡崎市民としては寂しい限り、です。

奴田原選手が昨年まで乗っていたエボX(CZ4A)を最初に投入したのは2008年のこと。そして昨年までの13シーズンで使用していたエボX、なんと2台だけだったって知ってます? ナンバーから「230(奴田原選手の名前から)」と「920(タスカ・エンジニアリングの石黒邦夫代表の名前から)」の2台が識別は出来ると思いますが、13シーズンにわたって使用していたのはこの2台だけ、なのだそうです。もともと奴田原選手はクルマにやさしいドライビングをしていますが、大きなクラッシュがあってもその個体を修復して使用。昨年の新城ラリーで勝ったことからもわかる通り、まだ戦闘能力はしっかりあるのですが、最近はスバルWRX勢に台数では押され気味で、全日本ラリーJN1クラスでは、このアドバンカラーの奴田原選手が孤軍奮闘といった感じでした。

「僕が三菱車に乗ったのは、1991年のミラージュ(E-C83A)が最初です。そこから、ミラージュ、ランサーとずっと三菱車ですね。三菱のクルマを選ぶメリットって、頑丈で耐久性があるってことなんです。それはボディだけじゃなくて部品にも言えることで、過酷な走行状況が続くラリーという競技にはすごくメリットになるんです。半面、車両が重たいというデメリットはあるのですが…。全体にオーバークオリティ気味で、ねじ一本に至るまで、過酷な状況を考えて作られており、そのベースの設計に余裕があるので、長く使えるのです」と奴田原選手は三菱車についてコメントしてくれました。

そんな奴田原選手の今シーズンのJAF全日本ラリー選手権への挑戦は、新城ラリーには車両の製作が間に合わない、ということで次の佐賀・唐津戦からの参戦となります。ラリー活動以外に、現在は開催が中止されていますが、三菱自動車の4WD登坂キット同乗体験にもドライバーとして参加しています。三菱との関係はなくなったわけではないですようですので、ご心配なく。

WRカーってどんなもの?

さて、前置きが長くなってしまいましたが、GRヤリスが国内ラリーシーンに登場するということで、今回はラリージャパンにやってくる車両について少し話をしてみたいと思います。

岡崎市内でも、一昨年のセントラルラリーや昨年のラリージャパン1年前イベントでヤリスWRCが実際に走行しているのを見る機会がありました。そんなヤリスWRCと、全日本ラリーに出ているGRヤリス、そしていわゆる市販車のGRヤリス、これらがどう違うか、というところからまず話を進めましょう。
  • この新城ラリーのサービスパークでも注目を集めるのが今季国内ラリー選手権に登場するGRヤリス。GAZOO RACINGのGRヤリス2台は、市販車の開発、勝つためのマシン、という仕様が少々異なるようです。

    この新城ラリーのサービスパークでも注目を集めるのが今季国内ラリー選手権に登場するGRヤリス。GAZOO RACINGのGRヤリス2台は、市販車の開発、勝つためのマシン、という仕様が少々異なるようです。

  • WRCに続き、国内でもラリー選手権が開幕となりました。残念ながらGAZOO RACINGの2台は初日に姿を消してしまいましたが、続く第3戦の唐津での巻き返しに期待したいですね。

    WRCに続き、国内でもラリー選手権が開幕となりました。残念ながらGAZOO RACINGの2台は初日に姿を消してしまいましたが、続く第3戦の唐津での巻き返しに期待したいですね。

  • WRCに続き、国内でもラリー選手権が開幕となりました。残念ながらGAZOO RACINGの2台は初日に姿を消してしまいましたが、続く第3戦の唐津での巻き返しに期待したいですね。

    WRCに続き、国内でもラリー選手権が開幕となりました。残念ながらGAZOO RACINGの2台は初日に姿を消してしまいましたが、続く第3戦の唐津での巻き返しに期待したいですね。

  • この新城ラリーのサービスパークでも注目を集めるのが今季国内ラリー選手権に登場するGRヤリス。GAZOO RACINGのGRヤリス2台は、市販車の開発、勝つためのマシン、という仕様が少々異なるようです。

    この新城ラリーのサービスパークでも注目を集めるのが今季国内ラリー選手権に登場するGRヤリス。GAZOO RACINGのGRヤリス2台は、市販車の開発、勝つためのマシン、という仕様が少々異なるようです。

  • この新城ラリーのサービスパークでも注目を集めるのが今季国内ラリー選手権に登場するGRヤリス。GAZOO RACINGのGRヤリス2台は、市販車の開発、勝つためのマシン、という仕様が少々異なるようです。

    この新城ラリーのサービスパークでも注目を集めるのが今季国内ラリー選手権に登場するGRヤリス。GAZOO RACINGのGRヤリス2台は、市販車の開発、勝つためのマシン、という仕様が少々異なるようです。

  • この新城ラリーのサービスパークでも注目を集めるのが今季国内ラリー選手権に登場するGRヤリス。GAZOO RACINGのGRヤリス2台は、市販車の開発、勝つためのマシン、という仕様が少々異なるようです。

    この新城ラリーのサービスパークでも注目を集めるのが今季国内ラリー選手権に登場するGRヤリス。GAZOO RACINGのGRヤリス2台は、市販車の開発、勝つためのマシン、という仕様が少々異なるようです。

まず 、全日本ラリー選手権出場車両です。いわゆる市販車といわれて私たちが日常的に使用している車両と、全日本ラリー選手権に出場する車両は、基本的には変わらない、という前提になります。ですから、私たちが乗っているクルマと同じようにナンバープレートを付けております。ただ、ナンバーを付けた一般車と同じといいながらも、いろいろが違います。

もちろん、競技車両ですから、クルマはできるだけ軽いほうが良いです。重いよりも軽いほうが速く走れますからね。そのため車内に装着しているパーツ類で走行に不必要なものははぎ取ってしまいます。これは軽量化のためです。

またはぎ取るだけではなく、積み込まなければならないものもあります。車内には出火に備えての消火器を積んでいたり、車両がコースから飛び出したりして横転した時でも乗員を保護するためにロールケージと呼ばれるボディ補強パーツも搭載します。シートはドライバーと、ナビゲーションを担当するコ・ドライバー用の2脚のみです。他にも走行中にパンクをしたときのためのテンパータイヤも積み込んでいます。テンパータイヤといっても、我々が想像するようないわゆるテンパータイヤではなく、競技車両が履いているものと全く同じもの、ですね。

全日本ラリーではJN1(2500ccを超える4輪駆動およびFIA規定のR5車両)からJN6(1500cc以下のRPN車両のAT限定、そしてモーターなどを使用するハイブリッドなどのAE車両)までクラス分けがなされていますが、基本的には、どの車両もナンバーを装着し、一般公道を走行できる車検を通った車両で、その内容が変わることはありません。
  • WRC開催地や開発の現場以外で、普段は目にすることができないのが、このWRカーです。といいながらも、すでに岡崎市内で、セントラルラリーやラリージャパン1年前イベントで実際にみることができましたね。

    WRC開催地や開発の現場以外で、普段は目にすることができないのが、このWRカーです。といいながらも、すでに岡崎市内で、セントラルラリーやラリージャパン1年前イベントで実際にみることができましたね。

  • そしてこの秋、デモンストレーションランとかではなく、ヒュンダイなどの他のメーカーのWRカーと実際にチャンピオンシップを争う場として、岡崎にもやってくきます。ぜひ見に行きましょう!

    そしてこの秋、デモンストレーションランとかではなく、ヒュンダイなどの他のメーカーのWRカーと実際にチャンピオンシップを争う場として、岡崎にもやってくきます。ぜひ見に行きましょう!

と 全日本ラリー選手権に出る車両は競技用車両で我々が普段接しているものとはだいぶ様子が異なります。が、これが世界ラリー選手権の車両となるとさらに大きく異なってきます。

ヤリスWRCを見るとわかると思いますが、リアには大きなウイングが乗っていますし、ボディ各所には羽根というかフィンというか、いろんな空力パーツがてんこ盛りです。これがWRカー(ワールドラリーカー)と呼ばれる車両です。

ベースとなるのは、全長3900mm以下の車両です。いわゆるコンパクトカー、専門的な用語で言えばBセグメントという車両サイズの市販車がベース車として選ばれることとなります。このベース車というのは年間に2500台以上生産されている車両ということで、いわゆる一般に市販されている車両というイメージですね。そのWRカーは最大全幅1875mmというサイズが規定されるので、ベース車両からより幅広なボディのイメージとなると思います。ですから市販車に似ているけれど、大きなオーバーフェンダーを装着したりしているので、大きく雰囲気が変わってきます。

ベース車がありますが、搭載するエンジンは排気量1.6Lの直噴ターボ・エンジン、駆動方式としては4WDとなります。その出力は、出力制限のための吸気リストリクター装着が義務付けられており、380馬力ほどになります。

WRCでは、トップカテゴリーとなるのが、このWRカーであるRC1の車両ということになります。その下に、Rally2(旧R5)マシンを使用したRC2、同じマシンで参戦するプライベートチームによるRC3といったカテゴリーも存在します。こちらの車両は1.6Lターボ・エンジンの4W車で、その出力は280馬力ほどになります。現在はこのレギュレーションの過渡期ということもあり、この下のクラスも誕生する予定です。