アウトレットと一緒に楽しむ、本宿・藤川宿の歴史巡り

公開日:2025.12.03     暮らし
2025年11月4日(火)、名鉄名古屋本線「本宿」駅近くに愛知県初の本格的アウトレットモールである三井アウトレットパーク 岡崎がグランドオープンしました。

週末のおでかけ先として注目を集めている本宿~藤川エリア。
少し足をのばすと、そこには歴史を感じる旧東海道の風情が残っています。

今回は、本宿駅近くにある徳川家康公ゆかりのお寺・法蔵寺を起点に、旧東海道沿いを道の駅「藤川宿」へ向かいながら、当時の賑(にぎ)わいを感じられるスポットをご紹介します。

法蔵寺

最初に訪れるのは「法蔵寺」。
ここは、家康公が幼少期のころに、手習いや漢籍(かんせき/漢文で書かれた書物のこと)などの学問に励んだと伝えられるお寺です。

江戸時代に参勤交代で行き来する大名や旗本は、法蔵寺で馬を降りて参拝するのが習わしであったとされ、大名や旗本も立ち寄るほどの由緒あるお寺であったことがうかがえます。

かつて本宿には、東海道「赤坂宿」と「藤川宿」の間に設けられた、旅の休憩所「お休み所」があり、法蔵寺の前で「法蔵寺団子」が売られていました。
あぶられた団子の香ばしい匂いに誘われ、遠方からも買いに訪れる人がいるほど人気があったといわれています。
昭和の初めごろまで法蔵寺の前で販売されていましたが、現在は少し離れた道の駅「藤川宿」でその味を楽しむことができます。
境内には、松平家御廟(ごびょう)や近藤勇首塚など、数々の歴史を感じるスポットがあります。

家康公の三大危機の一つ、三方ヶ原の戦いで忠死した家臣たちの墓の中には、戦いの際、家康公の身代わりとなり討たれた夏目次郎左衛門吉信のものもあり、三河武士の忠義を今に伝えています。

家康公幼少期の品や数々の文化財が残されており、桶狭間の戦い後、家康公はこの寺に守護不入の特権* を与えるなどして優遇したといわれる、家康公ゆかりの寺です。

* 中世、守護使がその地域に立ち入って 段銭徴収や罪人逮捕をするのを禁止すること。
松平家御廟/家康公により三方ヶ原の戦いの戦没者もここに祀られている。
近藤勇首塚
東照宮
六角堂
COLUMN
法蔵寺で加持祈祷した麻縄が有名だった!?

法蔵寺で加持祈祷した麻縄が有名だった!?

本宿は古くから麻の産地として知られており、犯罪者を捕縛する「捕縄(ほじょう)」が有名だったとのこと。 必ず法蔵寺で病気・災難などをはらうために行う祈祷をして各地に送られたといわれており、この縄で捕縛された者は罪を一度は許されたといわれています。

本宿代官屋敷

法蔵寺を後に、旧東海道を北西に約250m進んだ先の路地を左折すると現れる建物は、江戸時代に建造され、修復プロジェクトによって息を吹き返した由緒ある武家屋敷「本宿代官屋敷」。
国の登録有形文化財で、岡崎市が歴史的風致形成建造物に指定した貴重な建物です。

この建物に店を構える「ユギーノ・ユーゴ」での食事は、歴史的な空間で料理を味わうという、特別な思い出となることでしょう。
この屋敷にまつわる数々の歴史や逸話は、貴重な資料や古民具などと共に併設の郷土史資料展示室で知ることができます。

旧本宿村役場

本宿代官屋敷を後に、旧東海道を北西に進むと「旧本宿村役場」があります。
平成20年に解体されましたが、地域を象徴する貴重な近代化遺産であることから、保管部材を使用した復原工事を実施し、令和4年に開館しました。

ここは、額田郡本宿村三代目の役場庁舎であり、現在は東部地域の歴史文化を紹介する資料館として開放されています。

地域のかたのご協力により、旧本宿村役場の解説のほか、5人以上の団体見学を対象に、事前予約制で周辺の観光ガイドも実施されています。

周辺の文化財等の紹介や、復原工事の概要などの展示が並び、本宿の歩みを伝える重要な施設です。

山中八幡宮

  • 鳩ヶ窟

    鳩ヶ窟

旧本宿村役場から北西に約3km進むと「山中八幡宮」に到着します。

境内には、家康公の三大危機の一つ「三河一向一揆」の際、家康公が逃げ隠れたと伝わる洞窟があります。
追手の兵がこの洞窟の中を探そうとしましたが、中から白鳩が2羽飛び立ったので、追手の兵は「人のいる所に鳩などいるわけはない」といって通り過ぎ、家康公は命を救われたといいます。
その後、洞窟は「鳩ヶ窟(はとがくつ)」と呼ばれるようになりました。

そのほかにも、岡崎市指定天然記念物のクスノキなど、数々のパワースポットが存在します。
危機を乗り越えた家康公の強運と生命力が感じられる場所です。

藤川宿

  • 法蔵寺団子

    法蔵寺団子

  • 道の駅「藤川宿」

    道の駅「藤川宿」

  • 藤川宿資料館

    藤川宿資料館

  • 藤川の松並木

    藤川の松並木

法蔵寺から始まった歴史巡りの終着点は、道の駅「藤川宿」です。

道の駅「藤川宿」では、岡崎みやげや地元で採れた農林産物が購入できるほか、法蔵寺の前で昭和の初めごろまで売られていた「法蔵寺団子」を味わうことができます。

「法蔵寺団子」は1本の串に平たくした団子が5つ並び、昔懐かしい甘辛い溜り醤油味が特徴。
注文を受けてから香ばしくあぶって提供してくれます。

東海道五十三次では、藤川宿は三十七番目の宿場。
藤川宿脇本陣跡に建てられた「藤川宿資料館」では、当時の宿場町の様子を知ることができます。
また、県の天然記念物に指定されている「藤川の松並木」には約1kmにわたってクロマツがそそり立ち、当時の旅の風情を感じることができます。

アウトレットの立ち寄りにあわせて

いかがだったでしょうか?
本宿・藤川宿には、家康公ゆかりのお寺や、歴史ある建物など、岡崎らしい魅力がつまったスポットがたくさんあります。
アウトレットを訪れた際は、少し足をのばして、昔の旅人気分で旧東海道を巡ってみませんか?