知ってた?岡崎の妖怪たち

公開日:2021.08.31     暮らし
今も昔も身の回りで起きる不思議な出来事。妖怪のしわざと語り継がれるエピソードが全国各地にあります。岡崎市にも、岡崎城に現れたと伝わる「黄金の竜」や「化け猫」など、妖怪の不思議な伝承や説話が市内各地に語り継がれています。その昔、妖怪はとても身近な存在だったのかもしれません。今でも見えないだけで私たちの近くに潜んでいるのかも⁈

岡崎にどんな妖怪がいたのか、どんな伝承や説話があるのかご存知でしょうか?
今回は、岡崎の妖怪にまつわる不思議やお話をご紹介します!

岡崎城に残る昇龍伝説

  • 龍の井

    龍の井

「岡崎城に龍が現れた?」
そんなお話を聞いたことはありますか?

霧降山。岡崎城が築かれる前は、木が生い茂り昼でも暗く、山全体が霧で覆われることも多かったため、そう呼ばれていました。
いつの頃からか、山の茂みの中にある古井戸には龍神が住むと伝えられるようになりましたが、城を築城する際に井戸を埋めてしまいました。その後、大災害がおきたため、井戸を埋めたことを神様が怒っていると信じた人々は、井戸をお祀りすることにしました。すると、不思議なことに井戸の中から龍神が現れたのです。
さらに、岡崎城で徳川家康公が誕生した日の朝には、岡崎城の上に“黄金の龍”が現れたとか。
今でも、岡崎城の隣にある龍城神社には「龍の井」と呼ばれる龍神が現れたとされる井戸があり、昇龍伝説が語り継がれています。

岡崎の化け猫

  • 化け猫のお神輿

    化け猫のお神輿

江戸時代、歌舞伎で「三大化け猫伝説」(岡崎・鍋島・有馬)が演じられ、岡崎の化け猫が全国的に有名になりました。浮世絵師・歌川国芳の作品「東海道五十三対 岡部」にも、岡崎の化け猫騒動が描かれています。
大きさは犬くらいで尾は猫、顔は猿に似ていて五本の指を持つ化け猫が夜になると岡崎城に現れ、道行く人を驚かせていたそう。城下でも評判の町娘が行方不明になってしまい、化け猫に喰べられてしまったのではないかと大騒ぎになったというお話もあります。
8月の岡崎城下家康公夏まつり・12月の家康公生誕祭では、化け猫をデザインしたお神輿が担がれたり、歩道に化け猫の足跡が描かれたりと、市民にも広く知られています。

滝山寺鬼まつりの鬼面

  • 鬼まつりの様子

    鬼まつりの様子

  • 鬼面

    鬼面

滝山寺鬼まつりは鎌倉時代から800年続く天下泰平・五穀豊穣を祈るおまつりです。鬼の面を着けた「冠面者」が主となり、約半日に渡り様々な祭事を行います。祭事の最後に行われる「火まつり」では、国の重要文化財である本堂に30本を超える巨大な松明を持ち込み、半鐘やほら貝をかき鳴らしながら鬼たちが乱舞します。
鬼と聞くとなんだか悪いイメージがありますが、滝山寺の鬼は邪気を払う鬼神とされ、この地域に幸福をもたらすと言われています。
現在は「孫面」「祖父面」「祖母面」の3つの鬼面を使用して祭事を行いますが、もともとは「父面」と「母面」もありました。2人の旅の僧が禊をせずに面を着けたところ、面が取れなくなりそのまま亡くなってしまい、面を着けたまま鬼塚として供養したため、現在は3つしか残っていないと言われています。本堂西側の松が植えてある所が鬼塚と呼ばれています。

岡崎市美術博物館特別展示
「今よみがえる!おかざき妖怪の森~化け猫からオカザえもんまで~」

  • オカザえもんの妖怪画

    オカザえもんの妖怪画

龍神、化け猫、鬼面。岡崎にはまだまだ不思議なお話がたくさんあります。岡崎の妖怪に興味を持ったかた、そんなみなさんにぴったりの企画展が岡崎市美術博物館で開催中です。

開館25周年の企画展「水木しげる 魂の漫画展」の開催に合わせ、岡崎の妖怪にまつわる伝承や説話を調査し紹介する特別展示。長い歴史をもつ岡崎の地で語り継がれてきた不思議なお話を掘り起こし、現代に蘇らせようという試みです。

見どころは、市内で語り継がれている昔話をもとに、本市出身の美術家・松岡徹氏によってビジュアル化された妖怪画や立体作品。
明星院の片目のお不動さん、額田地域の天狗、若松町に伝わる黄金の金仏など不思議なお話や妖怪を作品とともに紹介しています。
また、オカザえもんによる『オカザえもんの妖怪画』や岡崎アマビエの原画も展示しています。
コロナ禍の夏、怪異に驚き不思議を楽しんでみませんか。

【おかざき妖怪発掘プロジェクト 特別展示について】
・開催期間:令和3年7月31日(土)~9月26日(日)
・開館時間:10:00~17:00
・会場:岡崎市美術博物館(岡崎市高隆寺町峠1岡崎中央総合公園内)

クイズラリー「恩賜池を探索して妖怪を探そう」

  • 森の中への入口 本当に妖怪がいそうですね

    森の中への入口 本当に妖怪がいそうですね

  • 化け猫

    化け猫

  • 狸地蔵

    狸地蔵

  • 天狗の大きな下駄とうちわ

    天狗の大きな下駄とうちわ

美術博物館の外、恩賜池周辺の森の中を探索しながら隠れた妖怪を探してクイズに挑戦!特別展示とともに岡崎の妖怪を楽しめるクイズラリーも開催中です。
ラリーは、岡崎アマビエ神社でお参りをしてスタート。7種類の妖怪がみなさんを待っています。大物妖怪のほかにも、コースの所々に潜んで悪戯しようとコソコソと待ち構えている「小鬼」。さて、いくつ隠れているでしょうか?小鬼のそばの鈴の音に耳を澄ましながら探してみてくださいね。
最後に、今回の企画展を担当された、学芸員・今泉岳大さんからのメッセージ。
「みなさんの住んでいる地域にも不思議なお話がたくさんあると思います。実際に調べてみると、昔話や伝承をより身近に感じることができるのではないでしょうか。昔話は語り継いでいかないとなくなってしまう儚いものです。皆さんに知っていただいて継承していくことがとても大切だと思います。」

今回の特別展示で紹介しているお話は市内に伝わる昔話のほんの一部。
そういえばあの時。身の周りで起きた不思議な出来事から、目に見えない世界を想像してみると、あなたの近くにいる妖怪の存在を感じられるかもしれません。