「高校生が商品販売!お客様と接する機会が、コミュニケーション能力を高めてくれる」

公開日:2018.02.16     暮らし
今回は、岡崎の地域活性化を目標とし、さまざまなボランティア活動に参加している愛知県立岡崎商業高等学校のOKASHOP部を紹介します。

『士魂商才~武士の魂と商人の知恵~』

愛知県立岡崎商業高等学校は、明治35年7月1日に岡崎町立商業補習学校を前身として創立されました。教育目標のひとつでもある『士魂商才をモットーに、武士の精神と商人の知恵を備えた紳士・淑女を育成する』商業高校として、産業人を育てるという特色をもち、115年の歴史を誇っています。
その中でも、平成14年から始まった「OKASHOP部」の活動はめざましく、「商業を学ぶ高校生たちにできることは何か」ということを表現するために、実際の商店街で商店経営を試みて、康生地区に常設店舗を設けました。しかし現在は、常設ではなく、水・金・土曜日の10時~16時まで、康生町の岡崎シビコショッピングセンター1階と名鉄東岡崎駅構内に出店し、午前と午後で2~3名が交替で店番を務めています。学業優先なので、テスト期間中や学校行事の時は、もちろんお休み。また岡崎城下家康公秋まつりなどのイベントへも参加依頼があり、いろいろなところで引っ張りだこのOKASHOP部。オカショップとは、OKASHO(岡商)とSHOP(店舗)をかけあわせてOKASHOPと命名されたそうです。
高校生が地域に出ていき、商品を販売して、お客様と接するという実体験が、店舗経営の実践教育やビジネス教育につながり、社会に出てからもきっと役立つに違いありません。また、都合がつけば、イオンモールやピアゴ(洞店)に出店する時もあるそうです。

生徒たちが、すべての仕入れから販売・管理・経理をこなす

「今は3年生の先輩方が卒部されたので、1年生が7名、2年生が22名の29名で運営しています。自分たちで商品を発注して仕入れ、在庫管理や経理もすべて私たちがおこなっています。お客様の年代がさまざまなので、接客の仕方を状況に合わせて考えることがとても楽しいです」と語る、部長の塩塚さん。塩塚さんは、コミュニケーション力の向上を重視し、自分が社会に出て仕事を始める時に役立つのではないかと思い、このOKASHOP部に入部を決めたそうです。「地域のいろいろな世代の人に、もっと私たちの存在を知ってほしいです。誰でも、気軽に寄ってもらえるように、いつも明るい雰囲気のお店づくりを心がけています」と、微笑みます。
また、副部長の浅田さんは「将来、美容師になって自分のお店を持ちたいと思っています。仕入れの流れやお客様との会話を楽しむための能力を身につけるには、この商業高校で、OKASHOP部に入るのが一番だと思っていました。計算も好きなので、簿記やビジネスに関する情報処理を学べることも楽しいです」と、自分の道をしっかりと歩んでいます。
顧問の鈴木先生は、「生徒たちは、大人の手を借りずに自分たちで考えて判断し、困ったことも相談しながら解決しています。実際のところ、商品を販売するということは、とても大変なことなのですが、本当によく頑張ってくれています。制服を着て、学校の名前を背負って街頭に立っているわけですから、責任感も強くなりますね。私は、生徒たちを心から誇りに思っています」と、愛情を込めて語ってくれました。

徳川家康公の家紋「葵の御紋」をモチーフに
「天下」シリーズという名の商品展開

OKASHOP部が取り扱っている商品は、「天下の飴」「天下のラスク」「天下のぽん菓子」「天下のぽんせん」「天下のかりんとう」「天下のきらず揚げ」「岡崎ぎゅーっと肉味噌」。各企業とのコラボレーションで生まれた商品は、どれもが生徒たちの思いが込められ、パッケージからも岡崎への愛にあふれています。岡崎産のコシヒカリ米を使用した昔懐かしいぽん菓子や八丁味噌の風味を生かしたかりんとうなど、お土産としても喜ばれ、常連のお客様も増えてきているそうです。

部活動で学ぶことを社会に生かして

「経理を学べることが楽しいです。最初は、人と関わるのが苦手でしたが、商品の説明をして、理解してもらえると嬉しいです。いつも言葉づかいを丁寧に、笑顔を忘れないように気をつけています」と、2年生部員。
また、2年前に卒業し、今は社会人として活躍中の河合さんは「部活が始まる時に、最初の挨拶で敬語を言うのがありました。それが今、仕事で電話の対応をするときにとても役立っています。声に出して言っていたことで、丁寧な言葉づかいが自然と身についたような気がします」と当時をなつかしく振り返ります。店頭に立つ生徒さんたちは、どの商品について質問しても、笑顔でハキハキと答え、おすすめの商品や好みの味わいを教えてくれます。継続して出店することによって、顔見知りもでき、いろいろな話をしてくれるお年寄りや応援してくれる親子連れも増えてきたそうです。そして、ときどき困ったことがあった時には、まわりの店員さんや駅員さんが助けてくれるとのこと。

顧問の高津先生は、「1年生の時には、恥ずかしさから声が小さくて緊張していた生徒たちも、2年生になると意欲も高まり、目を見張るほどの成長ぶりを見せてくれます。まわりの大人の方がたに見守られながら、お客様に対する接客を学んでいるようです。この部活動で学んだことを、いつか社会に出た時に、生かしてほしいと願っています」と、温かいまなざしを生徒たちに向けていました。
元気いっぱいに、岡崎市の玄関口で頑張っている高校生たち。
「今年の目標は、新商品の開発をすることです!」
ぜひ、実現してほしいですね。