「あ~美味しいコーヒー!と言ってもらえるように。毎日が勉強です」

公開日:2017.08.08     暮らし
今回は、2017年6月にハンガリーのブダペストで開催された、コーヒーの品質や風味を見分ける技のコンテスト「ワールドカップテイスターズチャンピオンシップ」において、世界第2位を獲得した天野五月さん(23歳)をご紹介します。

「おもしろそうだな」から始まった、薫り高きコーヒーへの道

小中学生の頃からお菓子を作ったりすることが大好きだったという天野さん。愛知県立岡崎北高等学校を卒業後、食に関する勉強をしたいと思い、大阪市にある辻調理師専門学校へ進学しました。そして、カフェコースでコーヒーの焙煎方法を学んだ時に「おもしろそうだな」と思ったことがきっかけで、現在の道に進み、2014年に岡崎市細川町のカフェ「珈琲通・豆蔵」に就職して今年で4年目を迎えるそうです。

「接客や焙煎業務のほか、喫茶全般に関わることを担当しています。毎日が勉強ですね。コーヒーは、生産地や農園によって、全く違う味わいになります。種類もたくさんあって、同じ農園内で作られた豆でも場所によって味が変わってくるんです。知れば知るほど奥の深い分野だな、と感じています。ここでお客様に提供しているのは、すべてスペシャルティコーヒーです」と、生き生きと語る天野さん。
スペシャルティコーヒーとは、一般社団法人日本スペシャルティコーヒー協会では「生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。カップのきれいさ、甘さ、酸味、質感、風味、後味、風味のバランスなどが重要な要素となること。際立つ印象的な風味特性や、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること」としています。特別に厳選された豆を、丁寧に淹れる天野さんの一杯は、薫り高く、「コーヒーってこんなに美味しいんだ」と思わせてくれます。

「2017年ワールドカップテイスターズチャンピオンシップ」世界第2位を獲得!

天野さんは、「カッピング」というコーヒーの品質や風味を見分ける技術の競技である「2016年ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップ」で優勝。2017年6月には、ハンガリーのブダペストで開催された「ワールドカップテイスターズチャンピオンシップ」に日本代表として出場し、世界42か国の代表者42人のうち、見事に第2位の成績を収めました。
カッピングの世界大会は3日間行われ、予選で42人から16人に、そして8人となり、決勝は4人で行われました。競技は、コーヒーの入った3つのカップの中から、1つだけ違う味のコーヒーを選ぶという方法で、1試合8セット、制限時間は8分間。つまり、1試合で計24カップのコーヒーを味わうことになります。しかも1カップ数秒ほどで判断しなければなりません。集中力と冷静な判断が重要になってくる競技です。

「問題はすべて正解していたのですが、競技タイムの差で2位になってしまいました。日本の大会とは違って、テレビのライブ中継などもあり、目の前にテレビカメラがあったりして、とても緊張しました。でも、会場のまわりが、お祭りみたいな楽しい雰囲気で、いい経験になりました」と、にこやかな天野さん。瞬時に、コーヒーが口の中で霧状になるように吸い込むため、「スタミナも必要なんですよ」と、微笑みます。

世界大会に参加して、英語の必要性を実感
生産者のこだわりを大切に、丁寧にコーヒーを淹れる

「世界大会で痛感したんですが、もっと英語を勉強しなくちゃ、って思いました。日本代表になったご褒美として、豆の仕入れにコスタリカやニカラグアにも行ってきましたが、生産者の方に直接お会いしたことで、いろいろなこだわりや思いを聞くことができて、とても刺激を受けました。これからも、生産者の思いを受け継いで、丁寧にコーヒーを淹れたいと思います。私は、苦味や甘味、薫り、酸味、口当たりのバランスによって全く味わいが変わるところに、コーヒーの魅力を感じています。特に薫りが強く、フローラルやフルーツ系のフワッとした風味のコーヒーが好きですね」
現在の目標は、「自分のお店を持つこと。そのためには、まだまだ勉強をすることがたくさんあります」と語る、凛とした佇まいの天野さん。いつかきっと、その夢を叶える日がくることでしょう。