公開日:2017.03.31
暮らし
「おもと」ってご存知ですか?
「おもと」は、一年を通し、常緑の葉を保つ伝統園芸植物で、「万年青」と書きます。年中常緑のゆえ「万年も家が栄える」といわれ、縁起のいい植物とされています。今回取材に伺ったのは、明治時代から万年青の生産・販売を業とする老舗:宝生園(ほうしょうえん)の四代目、水野圭子さんです。
JR岡崎駅から徒歩3分に立地する宝生園。駅前で植物の生産がされている!?と少々驚きの気持ちを持ってドアを叩きました。一歩足を踏み入れると大きな温室があり、その中ではたくさんの小ぶりな万年青が栽培されていました。水野さんは、作業の手を止め、にこやかに迎えてくれました。
「おもと」は、一年を通し、常緑の葉を保つ伝統園芸植物で、「万年青」と書きます。年中常緑のゆえ「万年も家が栄える」といわれ、縁起のいい植物とされています。今回取材に伺ったのは、明治時代から万年青の生産・販売を業とする老舗:宝生園(ほうしょうえん)の四代目、水野圭子さんです。
JR岡崎駅から徒歩3分に立地する宝生園。駅前で植物の生産がされている!?と少々驚きの気持ちを持ってドアを叩きました。一歩足を踏み入れると大きな温室があり、その中ではたくさんの小ぶりな万年青が栽培されていました。水野さんは、作業の手を止め、にこやかに迎えてくれました。
万年青文化
万年青は、引っ越しの時に、引っ越し先の最初の荷物として新居に入れると良いといわれ、「引っ越し万年青」とも呼ばれたりしますが、その由来は徳川家康公にあります。
慶長11年(1606)、家康公が江戸城本丸御殿に入城する際に、家臣であった三河国 長島長兵衛が「天福の霊草」として「永島」「吾妻鏡」「烟草葉(たばこば)」という3種の万年青を献上したそうです(これらの品種は、現存しています)。家康公はそれを大変喜び、城の床の間に飾り、以降300年の長きに渡り徳川の世が栄えたことから、引っ越しに万年青は縁起が良い、と考えられるようになりました。
現在、全国に万年青事業者は25軒しかありませんが、そのうち6軒(岡崎市2軒、西尾市1件、名古屋市3軒)が愛知県にあります。岡崎市や西尾市では、多くの農家が内職として、田植えが済んだ5月~6月にかけて万年青の交配(品種改良)を行っていたため、全国でも有数の栽培地となり、今もその流れで事業者の多い地域となっています。
慶長11年(1606)、家康公が江戸城本丸御殿に入城する際に、家臣であった三河国 長島長兵衛が「天福の霊草」として「永島」「吾妻鏡」「烟草葉(たばこば)」という3種の万年青を献上したそうです(これらの品種は、現存しています)。家康公はそれを大変喜び、城の床の間に飾り、以降300年の長きに渡り徳川の世が栄えたことから、引っ越しに万年青は縁起が良い、と考えられるようになりました。
現在、全国に万年青事業者は25軒しかありませんが、そのうち6軒(岡崎市2軒、西尾市1件、名古屋市3軒)が愛知県にあります。岡崎市や西尾市では、多くの農家が内職として、田植えが済んだ5月~6月にかけて万年青の交配(品種改良)を行っていたため、全国でも有数の栽培地となり、今もその流れで事業者の多い地域となっています。
伝統園芸の裾野を広げたい
水野さんが家業である宝生園の四代目となったのは37歳の時。大学を卒業後に家業に従事。その後、一旦家業を離れるものの、実父の病をきっかけにもう一度宝生園へ。元来、男性社会の万年青業界の中で、全国的にも珍しい女性の万年青専門家となりました。
万年青の購入者は、その殆どが愛好家であり、引っ越し万年青などの購入者はまだまだごく少数だそうです。自宅で交配し新種を作るかたやコンテストに向けて大切に育てるかたに長期的なアドバイスをしたり、お客さんが自宅で増やした万年青を買い取ったりすることもあるそうで、お客さんとの関係性がとても重要な業界だそうです。
このような業界の中で、四代目となった水野さんは、女性の万年青専門家としての視点を活かし、もっと多くの方々に万年青の良さを広めたいという想いを持つようになりました。その思いを初めてカタチにすることができたのが、2015年に東京で開催された「EDO ART EXPO」で、江戸の美意識を学び後世に伝えるツドヱドが企画した「江戸を支えた!?万年青の話と植え付け体験」でした。万年青に身近に触れてもらうきっかけとして、万年青にまつわる江戸時代のエピソードを語ったり、実際に植え付け体験をするという業界初の試みにチャレンジしました。このイベントには、江戸文化に興味のあるかたや伝統的な園芸に関心があるかたなど、女性を中心に多くのかたが集まり大成功を収めました。
2016年には、日本最大級の花のイベント「フラワードリーム」の伝統園芸ブースにおいて、園芸文化が花開いた江戸時代の園芸と、現代の園芸を比較して見せるコーナーを設置。「永島」はじめ江戸時代から続く品種を、万年青の植え付けに一般的な「万年青鉢」ではなく、有田焼の鉢に植え付けてみました。そして、万年青が「鉢植え」として現代のライフスタイルにマッチするカジュアルな植物であること、身近に楽しんでもらえる植物であることをアピールしました。
地元岡崎においても、この伝統的な文化を広めるべく、歴史豊かな岡崎に今も生きる「匠の技」の伝承とその技を活かした新たなモノづくりに挑戦することを目的とする「おかざき匠の会」のメンバーとして、様々な場で、植付けの実演を披露しています。また、「岡さんぽ」(市内にある魅力的な名所旧跡・文化財・自然などを、「まちあるきガイド」と一緒に“さんぽ”という手軽な方法で巡りながら、市民や観光客の皆さんに楽しい時間を過ごしていただくことを目的とした企画)への参画、お酒を飲みながら楽しく万年青の話しをする「万年青バー」の開催など、広く一般の方々に万年青の魅力を広める活動に取り組んでいます。
万年青の購入者は、その殆どが愛好家であり、引っ越し万年青などの購入者はまだまだごく少数だそうです。自宅で交配し新種を作るかたやコンテストに向けて大切に育てるかたに長期的なアドバイスをしたり、お客さんが自宅で増やした万年青を買い取ったりすることもあるそうで、お客さんとの関係性がとても重要な業界だそうです。
このような業界の中で、四代目となった水野さんは、女性の万年青専門家としての視点を活かし、もっと多くの方々に万年青の良さを広めたいという想いを持つようになりました。その思いを初めてカタチにすることができたのが、2015年に東京で開催された「EDO ART EXPO」で、江戸の美意識を学び後世に伝えるツドヱドが企画した「江戸を支えた!?万年青の話と植え付け体験」でした。万年青に身近に触れてもらうきっかけとして、万年青にまつわる江戸時代のエピソードを語ったり、実際に植え付け体験をするという業界初の試みにチャレンジしました。このイベントには、江戸文化に興味のあるかたや伝統的な園芸に関心があるかたなど、女性を中心に多くのかたが集まり大成功を収めました。
2016年には、日本最大級の花のイベント「フラワードリーム」の伝統園芸ブースにおいて、園芸文化が花開いた江戸時代の園芸と、現代の園芸を比較して見せるコーナーを設置。「永島」はじめ江戸時代から続く品種を、万年青の植え付けに一般的な「万年青鉢」ではなく、有田焼の鉢に植え付けてみました。そして、万年青が「鉢植え」として現代のライフスタイルにマッチするカジュアルな植物であること、身近に楽しんでもらえる植物であることをアピールしました。
地元岡崎においても、この伝統的な文化を広めるべく、歴史豊かな岡崎に今も生きる「匠の技」の伝承とその技を活かした新たなモノづくりに挑戦することを目的とする「おかざき匠の会」のメンバーとして、様々な場で、植付けの実演を披露しています。また、「岡さんぽ」(市内にある魅力的な名所旧跡・文化財・自然などを、「まちあるきガイド」と一緒に“さんぽ”という手軽な方法で巡りながら、市民や観光客の皆さんに楽しい時間を過ごしていただくことを目的とした企画)への参画、お酒を飲みながら楽しく万年青の話しをする「万年青バー」の開催など、広く一般の方々に万年青の魅力を広める活動に取り組んでいます。
新しい取組と今後
これからやってみたいことはどんなことですか?の問いに、
「実は今、こんな商品を作ろうとチャレンジしているのよ」
と、ガラスの瓶に植えこまれた小さな可愛い万年青を見せてくださいました。
「この瓶の中で上手に育てば、インテリア性の高い商品として、若い女性をターゲットとした雑貨店や通販での販売も可能になると思うの。この商品が、今まで万年青に触れる機会のなかった人にも知ってもらうきっかけになれば、と思っています。まずは万年青の存在を知ってもらい、育てる楽しさや成長し続ける植物の楽しさを知ってもらいたい。そしてこれをきっかけに伝統的な万年青の世界にも興味を持ってもらえたら・・・」と、話してくださいました。
「実は今、こんな商品を作ろうとチャレンジしているのよ」
と、ガラスの瓶に植えこまれた小さな可愛い万年青を見せてくださいました。
「この瓶の中で上手に育てば、インテリア性の高い商品として、若い女性をターゲットとした雑貨店や通販での販売も可能になると思うの。この商品が、今まで万年青に触れる機会のなかった人にも知ってもらうきっかけになれば、と思っています。まずは万年青の存在を知ってもらい、育てる楽しさや成長し続ける植物の楽しさを知ってもらいたい。そしてこれをきっかけに伝統的な万年青の世界にも興味を持ってもらえたら・・・」と、話してくださいました。
守るべき部分は守り、変化すべきは変化させて次のステージに進む
女性だからこそ見えるものを大切にしながら、伝統に新しい風を取り入れようとする水野さんの姿勢に、万年青という伝統園芸の裾野がより広がる新たな可能性を見たような気持ちになりました。生活の中で、万年青を見たり世話をしたりする、ちょっとした時間が、生活のゆとりや彩に繋がると思います。あなたも奥深い日本古来の伝統園芸、万年青の世界に、一歩近づいてみませんか?
宝生園(ほうしょうえん) http://www.housyouen.jp/
宝生園(ほうしょうえん) http://www.housyouen.jp/
インフォメーション
場所:岡崎市羽根町前田32-3
ホームページ:http://www.housyouen.jp/index.html
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