藤川宿むらさき麦プロジェクト

公開日:2015.06.19     暮らし
かつて東海道の宿場町として栄えた藤川地区では、平成6年に、まちおこしの一環として、江戸時代にあったとされる幻の麦「むらさき麦」を復活させました。大麦の一種で、その名のとおり茎から穂先まで紫色に染まります。近年、このむらさき麦の魅力を伝えようと、うどん・パン・クッキー・ビールなど約30種を商品化、市内で販売し、岡崎の新しい特産品として人気を博しています。
このプロジェクトの特徴は、麦の生産者と製造・販売事業者と地元の若い世代が共同で取り組んでいること。三者が交流しながら真剣に進めていくため、商品にはそれぞれの思いやこだわりがいっぱいに込められています。

松尾芭蕉の詠んだ俳句が生きるまち

「ここも三河 むらさき麦の かきつばた」。江戸時代、東海道を往来した松尾芭蕉は藤川一帯に広がる絶景からこの句を詠みました。一旦姿を消したむらさき麦ですが、藤川まちづくり協議会が県農業試験場から譲り受けた20数株を少しずつ増やし、約20年をかけて、今再び広大なむらさき麦畑を蘇らせました。現在、藤川土地改良区(道の駅藤川宿の北側)や東棒鼻、西棒鼻、本陣跡広場などで栽培され、毎年見頃の5月には多くの方が訪れています。
また、この協議会では、自分たちの街のことを自分たちで考え、かつ昔の宿場町の景観を楽しみながら住みよい魅力的なまちづくりをおこなっており、この活動はふるさと創生の先進例として全国からも注目を集めています。

オーナーと子どもたちの協力ではぐくむ麦

むらさき麦づくりには、だれでもオーナーとして参加することができます。毎年9月頃に募集。昨年11月の開園祭では、協議会メンバーの指導のもと、幼稚園児や児童らと総勢200人で種まきをしました。12月下旬に芽が出はじめ、雪の舞い散る2月には幼稚園児の「わっしょいわっしょい」の掛け声とともに一生懸命に麦ふみをしました。そのおかげで5月上旬には、むらさき麦畑が一面にむらさき色に輝き、多くの観賞者を魅了しました。さらに6月に自ら収穫したむらさき麦をそれぞれのアイデアで料理して頂くのも楽しみの一つです。

地元の大学生のアイデアによる賜物

  • ふじかわばあむ

    ふじかわばあむ

「むらさき麦って体にいいの?」愛知学泉短期大学食物栄養学科の研究室へむらさき麦を持ち込み、成分分析を依頼したところ、むらさき麦には本来大麦の持つ成分に加え、「アントシアニン」が含まれている点が特徴で、生活習慣病の予防効果など体に優しい食物であることもわかりました。
この分析結果をもとに、学生らが「どんな商品に合うのかな?味は?食感は?」など試行錯誤しながら、毎年メニュー開発に取り組んでいます。
一方、愛知産業大学デザイン科では、「むらさき麦の魅力をいかに伝えるか」をテーマに考え、商品企画やパッケージデザインなど、学生の自由な発想で次々とアイデアが生まれています。中でも「ふじかわばあむ」とお饅頭「むらさきの思い出」はヒット商品に。
ほかにも中学校や高校からの関心も増え、若い世代のむらさき麦プロジェクトへの参画は大きな力となっており、今後へと期待も膨らみます。

インフォメーション

場所:愛知県岡崎市藤川町字一里山南14
ホームページ:http://fujikawamchikyo.wix.com/fujikawa