井田小学校の中庭にある、学区内唯一の田んぼ「井田んぼ」

公開日:2018.12.03     "〇にナる" 岡崎まちものがたり
井田学区内にある唯一の田んぼは、井田小学校の敷地の中にあります。その名は「井田んぼ」。子どもたちが地域の人たちと共に育てる井田んぼの、稲刈りの様子を取材しました。
  • 「井田んぼ」は井田小学校の中庭にある

    「井田んぼ」は井田小学校の中庭にある

  • 子どもたちが稲の成長を見守っている

    子どもたちが稲の成長を見守っている

  • 毎年、5年生が中心になって井田んぼの世話をする

    毎年、5年生が中心になって井田んぼの世話をする

  • 田んぼがない学区にとって、実際の稲作に触れる貴重な機会だ

    田んぼがない学区にとって、実際の稲作に触れる貴重な機会だ

学区内の唯一の田んぼ「井田んぼ」
かつては田んぼが多く、のどかな風景が広がっていた井田学区。しかし昭和の中頃から地区の宅地造成が進み、いつのまにか学区内に田んぼはなくなってしまいました。

そんな中、2013年に「学区内に田んぼを復活させたい」という当時の校長先生の発案により、学校の中庭に田んぼを作ることになりました。そして地域の人たちの協力を得て作られたのが「井田んぼ」です。

井田んぼは毎年、5年生が中心になって育てます。ちなみに現在、井田小学校は岡崎市内で最も生徒数が多く、今年は総勢194人の5年生がこの田んぼの世話をしてきました。

井田んぼは、総合学習の時間を中心に、生き物観察や環境学習などの授業でも活用されているそうです。
  • 田植えの様子

    田植えの様子

  • 田植えを行う「井田植祭」では、代表の女生徒が早乙女姿でデモンストレーション

    田植えを行う「井田植祭」では、代表の女生徒が早乙女姿でデモンストレーション

  • 初めての田植えに大はしゃぎ

    初めての田植えに大はしゃぎ

  • 井田んぼの観察

    井田んぼの観察

  • 鎌を使い、手作業で稲を刈る

    鎌を使い、手作業で稲を刈る

  • 収穫した稲を稲架掛けしていく

    収穫した稲を稲架掛けしていく

  • 刈り取った稲を紐で束ねる子どもたち

    刈り取った稲を紐で束ねる子どもたち

  • 稲は昔ながらの天日干しをして乾燥させる

    稲は昔ながらの天日干しをして乾燥させる

  • 稲刈り後の井田んぼ

    稲刈り後の井田んぼ

井田んぼの1年
井田んぼの1年は、5月上旬の田起こしから始まります。土を掘り起こす作業は、子どもたちから「思ったよりも大変!」という声も挙がるのだとか。

そして5月の中旬には、1・2年生による代掻き(しろかき/田んぼに水を張ってかき混ぜる作業)が行われます。ここでは、学区内にある料亭の協力のもと、田んぼにドジョウが放たれます。子どもたちが必死でドジョウを捕まえようとすることで、土がかき混ぜられるのです。子どもたちにとって、代掻きは楽しい“泥んこ遊び”でもあります。

5月下旬になると、いよいよ田植え。学校では、「井田植祭」が行われます。腰を曲げて行うため、なかなか骨が折れる作業。土の中でオタマジャクシなどの生き物を見つけることもあるそうです。

それからは日々、田んぼの世話をしながら、成長していく稲の様子を観察し、記録に残していきます。夏休み期間中も、交代制で水やりなどの世話や観察を続けます。

実りの秋が訪れ、10月になると稲刈りです。収穫した稲は稲架(はざ)掛けし、10日間ほど自然乾燥させてから、脱穀します。

昨年は、55kgほどのお米が収穫されたそう。収穫されたお米は毎年、学区の「井田ふれあい文化祭」で、おにぎりや五平餅、おはぎなどにして地域の人たちに提供されます。
  • 米作り名人。写真左から、中根さん、酒井さん、岡田さん

    米作り名人。写真左から、中根さん、酒井さん、岡田さん

  • 稲刈りの手本を見せる岡田さん

    稲刈りの手本を見せる岡田さん

  • 収穫した稲を架ける稲架(はざ)は事前に米作り名人たちが設置してくれたそう

    収穫した稲を架ける稲架(はざ)は事前に米作り名人たちが設置してくれたそう

  • かつて米作りに使われていた道具も展示

    かつて米作りに使われていた道具も展示

  • 石臼の実演をすると、子どもたちが集まってきた

    石臼の実演をすると、子どもたちが集まってきた

井田んぼを支える「米作り名人」
井田んぼの世話は、子どもたちから「米作り名人」と呼ばれる3人の指導のもとで行われています。米作り名人は、井田んぼがスタートした当初から田んぼ作りをサポートしてきました。現在に至るまで、ほとんど毎日のように学校へ通い、田んぼの管理をしているそうです。

取材をした日も、名人たちが子どもたちに稲刈りの指導を行っていました。また、昔の稲作についての説明や、道具の紹介などもしてくれます。石臼挽きを実演すると、「何それ!」と、好奇心いっぱいの瞳で子どもたちが集まっていました。

地域の人たちの協力を得ながら、お米だけでなく学校と地域との絆も育てている「井田んぼ」。子どもたちにとっても教育的価値の高い、ユニークな取り組みと言えるのではないでしょうか。
◯取材協力:岡崎市立井田小学校
〇関連学区まちものがたりリンク
03井田学区まちものがたり

インフォメーション

場所:愛知県岡崎市井田町茨坪4-3